「中日」がやっと暗黒時代を脱出 “常勝軍団”復活へ整理した方がいい選手の実名

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 今季は2位争いを展開して、球団史上最悪となる7年連続Bクラスからの脱出が見えてきた中日。シーズン序盤は不可解な采配で批判を受けた与田剛監督もチームの底上げが評価され、来季の続投が決定的となった。

 ただ、成績をよく見ていくと得失点差は大きくマイナスとなっており、決して戦力的に充実しているとは言えないのが現状だ。チーム得点、ホームラン数はリーグ最下位であり、野手陣の強化は大きな課題となっている。2位を争っている阪神は早くも福留孝介、能見篤史などベテラン選手の整理を始めているが、中日もさらに上を目指すためには世代交代が必要であることは間違いない。果たして誰が整理対象になるのか。今年のプレーぶりから探ってみたい。

 投手陣ではやはり最年長の山井大介の名前がまず挙がる。二軍では結果を残しているが、一軍では敗戦処理として登板しても失点を重ねており、戦力として厳しくなってきたと言わざるを得ない。若手の頃から忘れたころに驚くようなピッチングを披露し、2007年日本シリーズでの8回までのパーフェクトや2013年のノーヒットノーランなど印象に残るピッチングは多いが、さすがにこのような快投を期待するのは難しいだろう。本人は現役続行の意思を表明しているが、球団の判断が迫られるところだ。

 投手でもう一人苦しい状況にいる大物が吉見一起だ。2008年からは5年連続二桁勝利をマークし、最多勝2回、最優秀防御率1回を獲得するなど、黄金時代を支えるエースとして活躍してきたが、度重なる故障で年々成績が悪化。今年もここまでわずか1勝で防御率は5点台と結果を残すことができていない。二軍ではチームで最多の投球回と勝利数を記録しているが、推定年俸は9000万円とまだまだ高額なだけに、整理対象となる可能性は高そうだ。

 立場が危ういのは実績のあるベテランだけではない。将来のエースとして期待されて上位指名で入団した伊藤準規(2008年2位)、浜田達郎(2012年2位)、鈴木翔太(2013年1位)の三人もかなり厳しい状況だ。

 伊藤は毎年のように期待されながらもキャリアハイは2011年と2018年の2勝で、通算成績は7勝11敗。昨年10月には右肘を手術して再起を図ったが、ここまで二軍でもわずかな登板に終わっている。浜田は2014年に5勝をマークした後は故障によって低迷し、2017年から3年間は育成選手としてプレー。昨年オフに支配下登録され、今年は4年ぶりに一軍復帰を果たしたが成績は芳しくない。貴重な左腕だが、この状態では来季の契約は極めて微妙である。一方、鈴木もプロ入り4年目の2017年に5勝をマークしているが、翌年に血行障害が発症してからは低迷。昨年も今年も二軍でも打ち込まれる日々が続いている。今年で25歳とまだ若さはあるが、素材の良さに期待してもらえる時期は過ぎたいという印象は否めない。

 野手では長く外野のスーパーサブとしてプレーしてきた藤井淳志が苦しい状況に追い込まれている。外野手が決して安定しているとは言えないチーム状況にもかかわらず、今シーズンは一軍に呼ばれることが一度もなく、二軍暮らしが続いている。来年で40歳という年齢を考えると、今年が最後のシーズンとなる可能性が高いだろう。

 藤井と同じく実績のあるベテランでは大野奨太も候補となる。2017年オフにFAで日本ハムから移籍したが、かつてのような肩の強さは完全に鳴りを潜め、盗塁阻止率も一昨年は1割台、昨年は0割台と完全に期待を裏切る結果となっている。今年はルーキーの郡司裕也の加入や外国人のA.マルティネスの支配下登録もあり、一度も一軍昇格を果たせていない。3年契約の最終年で推定年俸も1億円と高額な点もネックとなりそうだ。

 落合博満GM時代に社会人の野手を積極的にドラフトで獲得し、その中から阿部寿樹と木下拓哉がレギュラー格となったが、この二人以外は低迷している選手が多い。遠藤一星(31歳)、石川駿(30歳)、石岡諒太(28歳)などは年齢的にも二軍で結果を残してどうこう言われる選手ではなく、このままの状態でシーズンを終えるようであれば、戦力外の候補となってくる可能性は高いだろう。

 冒頭でも触れたようにチームの底は脱したように見えるが、優勝を狙うためにはまだまだ足りない部分は多い。再び常勝チームを作り上げるためにも、思い切った決断が必要な時期であることは間違いないだろう。

※成績は10月23日現在

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年10月27日掲載

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