三浦春馬さんのネット上デマ、元凶は事務所? 「お別れの会」も開かれず 

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死が“悲劇”に

〈年内の実施を予定〉していたはずのそのお別れ会は、いまだ日程すら発表されず、そのことにもファンは不安を募らせている。

 子役時代の三浦さんを指導した、つくばアクターズスタジオの加藤麻由美元会長も首を傾げる。

「葬儀に足を運んだ際、“お別れ会を開くので改めてご連絡します”と言われたものの、それから何の連絡もなく……。アミューズは真面目な事務所ですが、さすがに沈黙しすぎではないかと考えてしまいます」

 また、“箝口令”によって、芸能メディアへの情報も遮断されていたようだ。スポーツ紙の芸能担当が言う。

「そもそも、アミューズは取材や記事にうるさく口を挟む事務所ではないんです。ただ、三浦の件に関しては暗に“家族や葬儀のことには触れないでほしい”と伝えられました。傷ついた遺族の気持ちは察するに余りありますが、取材のアプローチすらできない雰囲気です。三浦の遺作となったセカンドシングル『Night Diver』についてアミューズ関連のレコード会社に取材を申し込んでも、“一切応じられない”。彼の音楽的な才能を伝える好意的な記事を書くつもりだったのに、です。異様なほどアミューズは神経質になっています。“事件”の風化を待っているのでしょうか」

 彼の死と家族との関係をタブー扱いするが如き事務所。あまりにも情報を出し渋るその対応に、コラムニストの唐沢俊一氏は、

「結局、いまの芸能事務所はタレントが自ら命を絶った場合の対応が定まっていないのです。日常的にSNSへの書き込みを続けるネット民の多くは、何より情報を得られないことにイラ立ちを感じる。常に情報を求める“飢餓状態”にあるため、ちょっとしたきっかけでデマが拡散し、無関係の人たちまで巻き込んでしまう。憶測や批判をシャットアウトして、自殺の後追いを出さないためには、事務所が警察と連携しながら事実関係を示し続けるしかないと思います」

 他方、宗教学者の島田裕巳氏は日本人の死生観の変化について言及する。

「かつての日本では、結核や赤痢、天然痘などの感染症で年齢にかかわらず多くの人々が亡くなっていました。死は身近で、人間の生活から切り離せない存在だった。しかし、いまは若くして命を落とすことが珍しくなったことで“悲劇”と捉えられ、周囲も現実を受け止めづらくなっている。しかも、今回は追悼番組ではなく、亡くなった方のドラマが新たに放映されたことで余計に生死の境があやふやになった。お別れ会のような追悼式典が開かれず、ドラマまで放映されると、ファンも死を納得して受け入れられない。その結果、猜疑心が生じてしまったのではないか」

 三浦さんが抱えた苦悩や葛藤まで共有したいと考えることは、ファンの心理としては理解できる。

 たとえ棺を蓋(おお)っても、彼の人生の軌跡にフタをしてはなるまい。

週刊新潮 2020年10月22日号掲載

特集「2丁目コネクション!? ファンは真相究明の嘆願署名 『三浦春馬』他殺説が流れる元凶は『事務所』」より

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