スウェーデンが「集団免疫」を獲得 現地医師が明かす成功の裏側

国際 週刊新潮 2020年10月15日号掲載

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 そして、スウェーデン在住者の実感を漏らす。

「ロックダウンは副作用がかなり大きく、経済的ダメージのみならず、長期的には精神面も含め、健康に悪影響を及ぼして命にかかわってきます。また、センシティブで難しい問題ですが、ロックダウンで失われる命は、若い世代のほうが多いでしょう。年齢に関係なく命は等価だという意見もありますが、予後が悪い高齢者と、これから社会を背負っていく若い人が同じであるとは、簡単には言い切れないと思います」

 経済がどん底のところに、パリやマドリッドばかりか、ニューヨークも再度のロックダウンを検討しているという。片や非難の的であったスウェーデンは、死者がゼロの日も多い。日本はそこから何を学ぶべきか。医師で医療経済ジャーナリストの森田洋之氏が言う。

「スウェーデンは結果的に利口な対策でしたが、4~5月の時点ではわからないことだらけで、イチかバチかの側面があったでしょう。それに日本とは社会的背景も国民性も異なるので、日本も真似をすべきだったとは言い切れません。しかし、データが揃いつつあるいまは違う。冬に向けて第3波がやってきたとき、また緊急事態宣言、外出自粛や休業要請というのは合理的ではありません。ロックダウンをしなくても収束に向かい、集団免疫も得られることが、スウェーデンのデータからわかるし、そもそもこのウイルスは、日本人には大きな脅威にならないことがわかっている。外出自粛で感染防止に執心するだけでなく、たとえばステイホームの結果としての孤独が、自殺が増えるという最悪の事態に発展していることも考えるべきです」

 スウェーデンの新型コロナ対策の背後に感じられるのは、このウイルスとは長い付き合いになるという覚悟と、そうである以上、無理は禁物だという大人の判断だ。結果として、無用に追い詰められる人は少なくなる。表面的には日本と似た緩い対策を支える精神の違い。日々の感染者数に一喜一憂する日本が学ぶべきはそこにあろう。

特集「コロナ『集団免疫』獲得で最後に笑う『スウェーデン』」より

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