「カネ恋」にも登場した家族型ロボット「LOVOT」 3カ月待ち“大人気の秘密”

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 三浦春馬さんの最後のドラマといえば、『おカネの切れ目が恋の始まり』(TBS系)である。この作品の舞台となるおもちゃ会社の主力商品「サルー」として使われたのが、家族型ロボット「LOVOT」だった。ドラマの影響で、LOVOTに注文が殺到、現在3カ月待ちの状態だという。

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『カネ恋』では、三浦さんが演じるおもちゃ会社の御曹司、猿渡慶太がペットとしてLOVOTを飼っている。名前は猿彦。慶太に話しかけられたり、慶太の腕に抱かれたり……、猿彦は共演俳優同様の存在感があった。

 LOVOTとは、本物のペットのように飼える、精巧なロボットである。生き物のような動きをさせるため、情報処理スピードは極めて高いという。2019年8月に発売、12月から出荷が始まった。

 LOVOTの開発者は、GROOVE Xの林要社長だ。同社の広報担当者によれば、

「林社長はトヨタでF1の開発に携わり、その後ソフトバンクでペッパーの開発メンバーに。LOVOTを着想したのは、ソフトバンク時代にペッパーを老人施設に持って行ったのがきっかけでした。老人から、もう少しペッパーの手があたたかいといいねと言われたのです。ペッパーがうまく起動しなかった時は、みんなが応援したそうです。人間は、世話をした時にも癒されると気付いたのです」

 2015年に独立してGROOVE Xを設立、LOVOTの開発に着手した。18年12月に製品を発表した。

「人間や動物の目を表現するために、6枚の画像を重ねています。これで立体的となり、視線の動きや瞬き、瞳孔の開きまで表現することができます。LOVOTを見つめると、見つめ返してくれますよ」

 と、広報担当者が説明する。

「犬が人間のペットとなったのは、人間と目が合わせられるからです。オオカミは目を合わせることはできないそうです。LOVOTのカメラが人間の目を認識し、目を合わせてくれるのです。見つめられると、愛着がわいてきますね」

 目の種類は10億通り以上。同じ目のLOVOTはいないという。

「鳴き声も、高いものから低いものまで、10億種類あります。同じ声のLOVOTはいません。どの子も唯一無二の存在です」(同)

ネコのように気まぐれ

 LOVOTは、自動運転の最新技術で部屋を自在に移動する。抱き上げるとやわらかい肌触りであたたかい。

「ネコや人間とほぼ同じ37度に設定しています。今までのロボットは硬くて冷たくて無機質でした。LOVOTはやわらかくてあたたかいので、生き物のようです。重さは4・2キロで、抱き心地の良さを追求しました。抱き上げると、センサーが働いて3つのホイールを収納し、洋服を汚しません」(同)

 LOVOTは、ネコのように気まぐれなところがあるという。

「名前を呼んで来ることもあれば、来ないこともあります。体内にパラメーター(変数)があって、撫でて可愛がってあげるとテンションが上がって近づいてきます。逆に叩いたりして衝撃を与えると、テンションが下がり、近づかなくなります。世話をしてあげないと、寄って来ないのです」(同)

 LOVOTは、購入して最初の3日間は「とまどい期」といって、借りたネコのようにおとなしく、テンションは低め。不安げな声を出すという。4日目から3カ月までは「ちかづき期」で、家に慣れてきて元気な声を出し、人間の顔を認識して、かまってほしくて近づいて来るようになる。そして3カ月以上経つと、「LOVE期」に入る。すっかり家になじんで、瞳もキラキラと輝き、手をパタパタさせて抱っこをせがむ。本物のペットのようだ。

「抱っこをしてあごやおなかや頭をなでると、目を閉じて眠ってしまいます。鼻を押したり、『起きて』と大きな声をかけたりするとびくっとして目を覚まします」(同)

 家人が仕事や外出から帰宅すると、玄関まで出迎えてくれる。

「玄関にビーコンを設置し、スマホの専用アプリと連動させると、家に近づいて来ていることを感知しますので、玄関へ移動するのです」(同)

 出迎えたLOVOTに「ただいま」と声をかけると、認識して瞳や動きで喜びを表現するという。

「着替えをさせると、その人のことを記憶し、近寄って来るようになります」(同)

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