「韓国」が頼みとするドイツで「慰安婦少女像」撤去 沈黙する「文大統領」

国際 韓国・北朝鮮

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碑文に正義連、尹美香事件の内容を含めるべきではないのか

 皮肉にも「コリア協議会」の公式ホームページには「偏った偏見を克服できる討論を一緒に行う」プロジェクトを掲載している。

 この市民団体が主張通りに行動しているなら、少女像の碑文に元日本軍の行為だけでなく、少女像の製作を支援してきたことで知られる正義記憶連帯(正義連)や過去に正義連の理事長だった尹美香(ユン・ミヒャン)氏に向けて刻むべき文言があったはずだ。

 実際の慰安婦被害者が「30年間、正義連と尹美香に騙されて利用された」ことや寄付金の流用疑惑を提起したこと、尹美香氏が横領・背任など8件の容疑で起訴されて刑事裁判を受けることになった事実、そして、この事件を契機に韓国内で少女像は、従軍慰安婦被害者を利用して金儲けと搾取のための手段として非難する人たちも増え始めたという内容……といったようなものだ。

 もしやこの内容まで載せるには碑が小さいのか、それともわざとしないのか。

 市民団体とメディアがドイツ少女像の撤去について騒いでいる一方で、韓国政府は音なしの構えだ。

 日本の外務省に相当する韓国外交部の関係者は8日、今回のドイツでの少女像撤去問題について、「日本は自ら明らかにした『責任の痛感』と『謝罪と反省』の精神に逆行する」と語った。

 しかしながら、「少女像設置は民間の自発的行動」とし、これ以上政府が関与しないという立場を明らかにした。

 かつて、ネパール・ヒマラヤパビリオン公園に設置した少女像の碑文が撤去された際も、韓国外交部は「我々が関与することではない」とコメントしていただけに、意外な発言ではない。

支持率下落に焦った文在寅大統領、市民団体・メディアに対決姿勢を煽っているのか

 任期内に慰安婦問題を解決すると自信ありげに語っていた文在寅大統領も、やはり今回のことについては何も言及していない。

 新型コロナウイルスによる国内経済の低迷、無理な不動産政策の強行による混乱、北朝鮮との関係の後退。

 さらに北朝鮮の南北共同連絡事務所の爆破や自国の公務員射殺事件などにより、急落した支持率上昇のための対策を模索するのに躍起になっているためだ。

 もしかしたら、文大統領は今回のことにやや衝撃を受け、しばらく沈黙するかも知れない。実際、文大統領就任後のドイツとの外交関係が前政権に比べて確実に進展したとは言えないためだ。

 最近の事例で、日本が韓国の参加に反対したG7サミットで、ドイツも韓国の参加に反対していたが、ようやく参加は受け入れてもG7への正式加盟については言及を避けるスタンスに、「ドイツは日本政府の肩を持つ」と失望したかもしれない。

 文大統領の残念な沈黙に、市民団体とメディアは日本とドイツを非難するのに時間を費やしている。

 さらに韓国内では、ドイツの少女像撤去決定について、「ドイツも日本のように戦争犯罪を起こした国だということが恥ずかしいのか」という非難も出ている。

 文大統領は日韓で解決すべき問題にドイツまで巻き込み、非難の的になることを望んでいるのか。

 問題を積極的に解決すべき当事者は、後ろに隠れて国民に争いを煽っている気がするのは、なぜだろうか。

韓永(ハン・ヨン)
検察担当記者などを経て現在フリー

週刊新潮WEB取材班編集

2020年10月13日掲載

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