「1度かかると3割が亡くなる“死の病”」 筒美京平、根津甚八も命を落とした誤嚥性肺炎の恐怖

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筒美京平、モンキー・パンチ、根津甚八

 最近のテレビ番組で新たな定番となっているのが「Z世代」に「昭和」を教えるというパターンのものだ。なかでも目立つのは、昭和の名曲を取り上げる番組。若い世代と中高年が一緒に見ることを狙っているのだろう。

 必ずといっていいくらい登場するのは筒美京平作品だ。ヒット曲を並べれば、そのまま昭和、平成のポピュラーミュージック史になるといっても過言ではあるまい。

「ブルー・ライト・ヨコハマ」「木綿のハンカチーフ」「魅せられて」等々。

 その筒美さんが亡くなってから早いものでもう3年が経つ。コロナ禍の真っ最中、2020年10月に誤嚥性肺炎による死が伝えられた(享年80)

 死因となった誤嚥性肺炎は、日本人の高齢化に伴い急増している病気。

 肺炎と聞いてただの風邪の仲間かと思ったら大間違いで、一度かかると3割以上が亡くなるという「死の病」なのだ。

 改めてその正体を知っておこう。

(以下、「週刊新潮」2017年6月1日号掲載の記事を再編集)

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 今や日本人の死亡原因の第3位にあげられる肺炎。2016年4月に亡くなった漫画家のモンキー・パンチさん(83=享年、以下同=)、2017年4月には歌手のペギー葉山さん(83)や元横綱で相撲協会理事長を務めた佐田の山さん(79)、同年5月には劇団四季で活躍した日下武史さん(86)も肺炎で亡くなっている。2016年には野球解説者の豊田泰光さん(81)や役者の根津甚八さん(69)も誤嚥性肺炎によって命を落としている。

 厚労省などの統計では、肺炎による死亡者の92%が65歳以上のお年寄りだが、そこには顕著な傾向が見られる。

「肺炎で亡くなった老人の多くが誤嚥性肺炎です。この病気に罹ってしまうと、3割以上が死に至るというデータもある。肺炎といえば風邪をこじらせた程度のイメージですが、誤嚥性からくるものは、死と直結しているといっていい」

 そう話すのは、呼吸器疾患が専門の大利昌久医師(おおり医院院長)である。実際、12年に亡くなった中村勘三郎さん(57)も誤嚥性肺炎が引き金となってARDS(急性呼吸促迫症候群)を発症、ほどなくして命を落としている。

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