ドラマ「一億円のさようなら」 「妻の遺産48億円」は幸か不幸か

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 妻が巨額の遺産を相続していたことがわかった。夫は当然不信感を抱く。やがて1億円を手にして……。驚きの展開を見せるドラマ「一億円のさようなら」(原作・白石一文)の見どころについて。

 大学生のとき、カラオケ店でアルバイトをしていた。90年代前半のカラオケ店は大賑わいで、1日の売り上げが100万円を超える日も。

 前日の売り上げ金を目の前の銀行に持っていき、入金するのが朝番の仕事でもあった。

 あのとき、初めて100万円の重みを知った。ゲンナマで見たのも触れたのも初めて。いつも緊張してわきの下に汗をかきながら、銀行に運んだことを思い出す。

 今は心が汚れたし、キャッシュレスの時代なので、ゲンナマで100万単位のお金に触れることはほぼない。

 映画のように大量のお札をばらまいてはしゃいだ経験もない。なくしたらイヤだなと、みみっちいことを考えるタチである。

 もし1億円のゲンナマが突然手に入ったら? そんなドラマが「一億円のさようなら」(NHK BSプレミアム)である。

 金の出どころは、なんと長年連れ添った糟糠の妻が隠し持っていた遺産。

 26歳のときに会ったこともない親戚から突然相続した額、なんと34億! ブルゾンちえみか。1億足りないけど。

 そして弁護士に管理を任せ、2億円で株を買ったら大儲け、現在は48億円に!!

綺麗事を言う安田に、上川はふつふつと沸く怒りをぶつける

「妻の資産が48億円」という、不運だか幸運だかわからない目に遭うのが、医療系の企業に勤めるサラリーマン加能鉄平。演じるのは、事務所の宣材写真がいつまでたっても変わらない上川隆也。

 ドラマがまだ始まらず、劇中の場面写真がない時点でのPRに使われるのが宣材写真なのだが、上川の写真はちょっと90年代の六本木のホストっぽいんだよな。これはこれで味わい深いものがあるのだが、そんな些末なことはさておき。

 問題の妻・夏代を演じるのは安田成美。上川・安田の夫婦は、二人の子供を育て上げ、息子(佐久本宝)は医学部に、娘(美山加恋)は看護学校に進学。

 まだまだ子供たちの学費もかかるし、中古で買ったマンションのローンも残っている。困窮しているわけではないが、それなりに切り詰めて慎ましく暮らしてきた。

 そんな折、親戚を名乗る男(阿南健治)が会社に訪れ、金の無心をしてきたことで、上川は妻に48億円の遺産があることを初めて知る。

 いや、それ、当然言い争いになりますわな。「48億?! ひゃっほう!!」とはならないわけで。長い年月近く嘘をつかれてきたことに不信感も抱くわな。

「あれは私のお金じゃないから。大金があるとまともに生きられなくなる」と綺麗事を言う安田に、上川はふつふつと沸く怒りをぶつける。

 うんうん、わかる。お金があれば解決できたことや、もっと違う選択肢があって可能性が広がったことなど、ちまちまと思い起こす上川。

 すい臓がんで苦しんだ母に個室を用意できていたら……新築一戸建てを買うことができていたら……「もしあのとき金があれば」というifエピソードを羅列。製薬会社から関連会社に出向させられて、給料も減った自分の不甲斐なさも含めて、安田に当たり散らす。

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