新型コロナが私を狂わせた……ワクチン株に1000万円をつぎ込んだサラリーマンの告白

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社名くらいしか知らないワクチン株に1000万を投資

 そこで彼が注目したのが、ワクチン開発企業だった。

「今年7月半ばに、200万円くらいから買い始め、ピーク時は保有株の合計が1600万円分くらいまで行きました。売買を繰り返し、いまは1000万円分くらいです。『フェイスブック』などの銘柄も買っていますが、メインはワクチン関連で、『ファイザー』『バイオエヌテック』『モデルナ』『ヴァクスアート』『エマージェント・バイオソリューションズ』の計5銘柄を買っています」

 ファイザー以外はまったく聞き慣れない会社だ。

「ワクチン開発しかやっていないようなベンチャー企業ばかりですからね。完全なギャンブル株です。正直いうと、私もネット情報を頼りに買ったので、社名くらしかわかっていないのが実情です」

 最初の1、2週間は順調な推移で、

「50、60万円くらい上がりましたね。このままワクチン開発の結果が出るまでは、期待でどんどん上がるだろうと踏んでいたんですが、なぜか、8月に入ると下がり始めてしまいました。いまはマイナス200万円くらいの含み損を抱えています」

明け方4時になると目がパチっと覚めちゃうんです

 そして、日本株からの卒業で得られるはずだった心の平安をも奪われるハメに。

「今度は睡眠不足になってしまったのです。午後10時半から深夜1時くらいまでは、気づいたらチャートを見ている自分がいます。さすがにそれから眠るのですが、市場が閉じる1時間前の深夜4時になると、パチッと目が覚めてしまう自分がいます。トランプがコロナになった時も気が気でなかったですね。先物市場の動きも見てしまうので、結局は一日中株価を気にしてしまう生活です」

 だが、まだ夢があるでしょう、と問うと吉村さんは首を横に振るのである。

「ワクチンの結果が出始めるのが11月くらいからですが、もう上がり始めたタイミングで売ってしまおうと考えています。トントンに持ち込めれば御の字。もし、開発失敗という結果が出てしまえば、紙くずになりかねない。これ以上のマイナスだけは何がなんでも避けなければなりません」

 負けを取り返すために勝負がやめられない。ギャンブルの罠にハマってしまった吉村さんの命運はいかに――。

週刊新潮WEB取材班

2020年10月8日掲載

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