「文大統領スルー」が「金正恩」の「トランプ大統領」への“ラブレター”で証明された

国際 韓国・北朝鮮

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米朝間で坂本龍馬と同じ役割を果たすことを夢見る文在寅

 アメリカのトランプ大統領(74)が新型コロナウイルスに感染していることが確認され、全世界を驚かせた。もちろん、韓国の文在寅大統領(67)も少なからぬショックを受けただろう。それは、トランプ大統領の感染そのものより、金正恩北朝鮮国務委員長(36)が「韓国スルー」を繰り返した失望と焦りからだという。

「韓国を通さなければ米朝関係改善は難しい」「韓国が米朝の仲裁役を果たす」

 北朝鮮とアメリカの間で坂本龍馬と同じ役割を果たすことを夢見る文在寅大統領だが、金正恩氏は今回も韓国をスルーして、直接トランプ大統領に親しみを込めた慰労メッセージを送った。

 北朝鮮軍が韓国人公務員を銃殺した事件で少し前に発生し、その際に金正恩は、単に「申し訳ない」という短いコメントを出したにとどまった。

 が、北朝鮮から被害を受けたわけでもないトランプ大統領に対しては、より礼儀正しい真心を込めたメッセージを送ったのである。

 自国民が銃殺されようが、国民の反発が激しくなろうが、北朝鮮との関係構築に最善を尽くすと言い続ける文在寅大統領。

 その心を知ってか知らずか、金正恩は、文在寅大統領をスルーして、アメリカと直接コンタクトを取る姿勢を見せる。

 任期後半に差しかかり、米朝関係で特別な役柄を演じる可能性が高くない文大統領が焦りを覚える理由はここにある。

3回の米朝会談に韓国は不要だった

 金正恩はトランプ大統領のコロナウイルス感染の知らせに10月3日午前、「朝鮮中央通信」を通じて見舞い電報を送った。

金正恩は「米合衆国大統領ドナルド・J・トランプ閣下、私はあなたと夫人がコロナウイルス検査で陽性と確認されたという意外な知らせに接した」とし、「一日も早く全快することを心から願う。あなたは必ず打ち勝つだろう」と激励したという。

世界各国の代表がトランプ大統領に激励のメッセージを送っているが、なかでも米朝関係が冷却しているいま、金正恩のこのような反応は意外に感じるかもしれない。

しかし、両首脳は最悪の状態を続けてきたわけではない。

2018年6月、世界の注目を集めてシンガポールで開催された米朝首脳会談は、北朝鮮の核兵器廃棄やアメリカの経済援助など、両国が協力する内容の合意書に署名し、新たな関係を生んだ。

2019年2月、ベトナムのハノイで開かれた2回目の米朝会談は、両国の平和への努力に大きな期待が寄せられたが、アメリカが隠された北朝鮮の核兵器施設を暴露して廃棄を要求したことに北朝鮮が反発し、一切の合意がないまま終了した。

以前の米朝関係に戻る懸念があったが、同年6月30日のG20大阪サミット終了後、トランプ大統領は韓国北部の非武装地域(DMZ)の「自由の家」で金正恩と電撃的に会談、両国関係は「懸け引き」をしているように思えた。

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