「文大統領スルー」が「金正恩」の「トランプ大統領」への“ラブレター”で証明された

国際 韓国・北朝鮮

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文大統領は「仲裁者」になることを望んでいるが、米朝には「招かざる客」

 トランプ大統領と金正恩の3度の会談は、“仲裁者”を自認した文在寅大統領を事実上、毎回無視したという共通点がある。

シンガポールとベトナムのサミットは、いずれも文在寅大統領を招待せず、韓国と北朝鮮の国境で行われたトランプ大統領と金正恩の3度目の会談で、文大統領はやっと顔を出すことができた。

当時、文大統領は記者会見で「私も今日招待を受けた」と述べたが、最近になって、ジョン・ボルトン前アメリカ大統領補佐官の回顧録で、当時、トランプ大統領と金正恩はいずれも文大統領が会談に出席することを望まなかった事実が明らかになった。

 実際、会談でトランプ大統領と金正恩は立会人なしで53分間会談を行ったのに対し、2人の会談を待っていた文大統領はトランプ大統領と約2分間、簡単な会話を交わしただけだった。

文大統領は会合の参加者でもなければ仲裁者でもなく、ただの傍聴者に過ぎなかった。

さらに、ボルトン氏は回顧録で、2018年のシンガポール会談の前、アメリカのホワイトハウスを訪問した金英哲(キム・ヨンチョル)北朝鮮党副委員長が、トランプ大統領に「韓国は(サミットに)必要ない」と話したと述べている。これが事実ならはじめから北朝鮮はアメリカに「韓国スルー」を望んでいたし、アメリカもこの提案に反対しなかったことになる。

失敗連続の自称「仲裁諮問大統領」、依然として自信満々な理由とは?

 結果として文大統領の“仲裁者”の立場は現在、失敗を重ねている状況だ。

アメリカと北朝鮮のサミットで韓国政府が願った「完全非核化」も進展することはなく、中途半端な状態にある。

またDMZ会談以降、北朝鮮は18回もの弾道ミサイル発射実験を行い、今年3月30日にはアメリカに「対話の意欲を捨てた」と破局を宣言した。

独りよがりな文大統領は今年6月、韓国国民の税金300億ウォン(約27億円)を投じて設置された南北共同事務所を北朝鮮が一方的に爆破した直後の同月30日、欧州連合(EU)との画像サミットで「米大統領選挙前に米朝間のサミットが開催できるよう努力する」と話した。

親文在寅派の朴炳錫(パク・ビョンソク)国会議長は9月30日、ドイツのベルリンで行ったフランク・ヴァルター・シュタインマイヤー独大統領との会談で「北朝鮮は米朝関係改善を望むが、韓国を通さずアメリカとの関係を改善することは難しい」と発言したという。

まさに“的外れ”の状況でしかない。北朝鮮は韓国の考えや希望とは関係なく、はじめからアメリカとの外交において「韓国スルー」で一貫してきたが、文大統領は依然として、韓国が仲裁者として華々しい役割を果たせると信じている。

文在寅には気の毒だが、北朝鮮はアメリカとの関係が良くても悪くても、金正恩がトランプ大統領に送った見舞い電報と同じく、自らコンタクトする道を望んでいる。

むしろ、金正恩の立場として、文大統領が自認する仲裁者は自分たちを無視する行為に見え、不愉快に感じるかもしれない。

文大統領は現在、北朝鮮外交に対する韓国国民の反発と40%前後に墜落した支持率は全く気にならないようだ。

“スルー”されている屈辱を受け続けるなか、いつまで耐えられるか。

韓永(ハン・ヨン)
検察担当記者などを経て現在フリー

週刊新潮WEB取材班編集

2020年10月4日掲載

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