ノブコブ徳井が恩人・東野幸治を「腐り狂った超天才」と評する理由とは

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島田紳助の引退が転機に

 1か月後、本当に中野の居酒屋にホワイトデビルがやってきた。いつもは3人もいないようなスタッフ陣が、10人以上も店内にいる。

 乾杯をして、酒を飲み始め、フジテレビで収録を終えはるばるお台場から中野に来た東野さんにお話を聞く。今日の収録に至った経緯を改めて説明した後に、東野さんの芸人としてのターニングポイントについて伺ってみた。

 本当は辞めようと思ったことが何度もあるらしかった。どうせ頑張ったところでダウンタウンを超えることは何があっても一生ない。ならば辞めよう、そういった心境に度々なるようだ。そこには若手の頃、強烈に刻まれたダウンタウンへの畏怖と尊敬があるように僕には思えた。

 けれどその度に、大きな仕事が来るらしい。その一番大きなバッドだかグッドだかのタイミングが、2011年の島田紳助さんの引退だ。急遽訪れたこの出来事により、東野さんの元に超人気番組『行列のできる法律相談所』のMCの仕事が舞い込んできた。辞めようと思っていたタイミングでの依頼に、さすがにその時は「困った」そうだ。

「(きちんと)やれるかどうか、ってことで困ったんですよね?」

 当然のように僕が質問すると「いや」と一刀両断。

「できるのはできると思ったんやけど、オープニングで紳助さんをいじるのかどうか、いじっても毎週いじれるわけでもないし、それも不謹慎なように映るし、いじらないのも何かつまらんし、なんか難しいなぁ、と思ってん」

 僕の思考の遥かかなた天空を行く悩みを口にした。もっと聞いていくと、今までお笑いの仕事で事前にトークを用意して行ったこともないらしい。ふわっと考え、それで本番を迎えたことしかない、と。若手の頃から、ずっと。

 僕は、とんでもない思い違いをしていたんだと、今更ながらに気が付いた。東野幸治は、天才じゃなかったんだ。超天才だったんだ。僕ら凡人の悩みなんか悩みじゃないし、秀才の抱える希望なんてとっくの昔から叶えていたんだ、と。

 他にも、生放送に対する考え方、飲み会に対する考え方も御指南頂いた。

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