米メジャー初戦 金谷拓実は“真のヒーロー”か

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 男子メジャーの全米オープンは“ゴルフの科学者”と呼ばれるB・デシャンボー(27)が初優勝。日本のトッププロは3日目まで優勝争いに絡んだ松山英樹(28)が17位タイと健闘したが、石川遼(29)、今平周吾(27)は総じて見せ場なく終わった。

 一方で関係者に強い印象を残したのが、昨年8月から長らく世界アマチュアランク1位の座にある金谷拓実(22)だ。カットラインまで1打及ばず、通算7オーバーで予選落ちしたものの、

「持ち前の正確なショットと冷静なコースマネジメントが終始光った。同じく予選落ちしたT・ウッズ(44)は10オーバー、P・ミケルソン(50)が13オーバーと苦戦したことを考えれば、アマチュアとしては上々の出来でしたね」

 とはゴルフ誌記者。

「振り返れば、通算2オーバーで迎えた2日目はいきなり2連続ボギー。3ホール目でバーディを取り返したものの、続く4番、5番と再びボギー。このままズルズル後退かと思われた」

 そこはアメリカでも屈指の難コース。さらにメジャー大会とあって、そのセッティングは過酷を極めた。

「ところが金谷は6番で2つ目のバーディを奪取。前半だけで2回の“バウンスバック”を見せたのです」

 バウンスバックとはボギーかそれ以下で回ったホールの直後、バーディ以上の好スコアを出すことをいう。一般にゴルファーのメンタルの強さをはかる指標とされ、全盛期のウッズ、昨季に全英オープンを制した渋野日向子(21)らはこれを出す頻度が非常に高い。

 ゴルフジャーナリストの舩越園子氏が後を継ぐ。

「結局のところ、アンダーパーでホールアウトしたのは6アンダーで優勝したデシャンボーだけ。今回はパーでもバーディの価値があり、ボギーがパーにあたるような展開でした。金谷選手は東北福祉大4年生で、キャリアはこれから。今回の経験は大きな財産です」

 彼は去る9月10日、世界のアマチュアゴルファーのナンバーワン選手に与えられる「マコーマックメダル」の受賞者に選ばれたばかり。2007年創設の同賞に日本選手が選ばれたのは初の快挙。世界アマランク1位の座を明け渡すのは、まだまだ先に違いない。

週刊新潮WEB取材班

2020年9月28日掲載

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