「ヒュンダイ」日本再上陸プラン…韓国人が不満を持ちつつ購入するワケ

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漏水やエンジンオイルへの冷却水の浸透、排ガスの室内への流入…

 とはいえ、韓国国内で輸入車を買うという選択ができるのはひと握りの金持ちだけだ。だから、積極的というより仕方なく現代自動車を購入する消費者が多くなった。

 現代自動車は、米国と韓国は自動車の販売量が異なるため、異なる価格戦略を展開せざるを得ないと説明するが、その理屈で国内消費者を説得することは難しい。

 過去の日本進出の失敗も当然だ。自動車業界の関係者は「日本で車を売ることはない」と話した。韓国市場は仕方なく購入する消費者が大部分だから存在できているが、車種が多様な日本で現代自動車は競争力をあれこれいう資格すら得られない。

 2015年、韓国自動車業界では物珍しいイベントが開かれた。現代自動車と関係なく開かれたもので、韓国の消費者の不満がどれほどなのかを大方知ることができる内容だった。

 具体的にその場では、現代自動車の韓国内販売車と米国内販売車は異なるという議論がたびたび繰り返された。国内販売車と輸出販売車は該当国の法律によって仕様が異なるのが原則だというのだ。

 大学教授と専門家らで構成されたイベント主催側は、米国で販売されている車を求め、人々を集めて韓国モデルと米国モデルを正面衝突させたが、結果に違いはなかった。

 最近は良くなったとはいえ、少し前まで車体の腐食が問題となり、今も新車が出るたびに漏水やエンジンオイルへの冷却水の浸透、排ガスの室内への流入などといった大小の問題点がインターネットを賑わしている。

自分たちの利益だけを主張する急進的で悪名高い「貴族労組」

 最近はジェネシスのSUV「GV80」ディーゼルエンジンの騒音と振動が問題になった。

 6月に発売されたGV80は生産中断となり、数日前に販売が再開されたところだ。

 このような問題に対する現代自動車の対応は消極的で、消費者を憤慨させる要因にもなっている。

 一方の米国市場では、現代自動車はとても素早く対応する。問題が見つかると、直ちに原因を分析して解決に乗り出すか、あるいは交換やリコールで対応する。同じ企業とは思えないほど積極的だ。

 現代自動車の労働組合も常に議論の的になっている。金属労働組合に属する現代自動車の労働組合は経営には関与せず、「貴族労組」と異名を取るほど悪名が高い。

 最近、会社が生産ライン内で勤務時間にスマホを見ることができないようにとWi-Fiを遮断すると、労組が反発してストを辞さない構えを見せたと報じられたが、品質不良に対する消費者の不満は高い。

 工業製品の特性上、完成品の品質差はある程度理解できるが、やるべきことをやらず自分たちの利益だけを主張する急進的で悪名高い労働組合の行動が知られるようになり、現代自動車の信頼はますます落ちている。

 欧州や米国の自動車関連従事者は、韓国人がなぜ現代自動車に不満を持ちながら購入するのか理解できない。

 欧米では価格が安く保証期間も長い無難な車だが、韓国人は現代自動車を買う一方で、本当に好きで購入する人は多くはない。欧米の人たちは容易には理解できないようだ。

ソウルトンボ
ソウル在住の韓国人ライター

週刊新潮WEB取材班編集

2020年9月11日掲載

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