半沢で注目「階戸瑠李さん」が急逝 上智卒の才女は“書き手”としても期待されていた

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「波」に掲載された書評

 そして彼女の別の才能を残念がる者もいる。彼女は文芸雑誌「波」(新潮社)の今年2月号に文章を寄せていた。「私の好きな新潮文庫」というコーナーで、書評を書いたのだ。

 依頼したのは、国立高校で彼女の1年先輩にあたる新潮社社員である。

「階戸さんとは高校の軽音楽部で一緒でした。彼女はドラムをやっていて、スピッツなどをカバーしていましたね。ハンドボール部のマネージャーを兼部したり、友達も多そうでした。ただ、芸能人になるタイプとは思っていなかったので、女優になったと知った時は驚きました。すごくいい子でしたけど、ごく普通の子でしたから」

 高校卒業以来、会うことはなかったが、執筆を依頼したのはなぜか。

「昨年話題になったNetflixのドラマ『全裸監督』など話題作にも出ているし、彼女のSNSを見ると、よく本を読んでいることも分かったからです。それでお願いしたら、上がってきた原稿は、ほとんど直すところもなかった。こちらが指摘した部分も、的確に直してくれました」(同)

 一部を引用してみよう。

〈小さい頃から読書が好きだった。算数の答えは一つしかないけれど、国語の授業は答えが何通りもあって。物語が与えてくれる想像の自由度に幼心にも惹かれたのだ。

 学生時代は村上龍や舞城王太郎、太宰治に三島由紀夫、司馬遼太郎。その時に読みたいものを、わくわくするものを貪るように読んだ。

 そして今、私は三十一歳独身、子供なし、ついでに彼氏もなし。結婚や出産がすべてだとはもちろん思っていないが、なんだかひとりぼっちで取り残されたような感覚にひどく陥ることもある。ただでさえ生きづらい世の中で、漠然と不安なもやもやを胸に抱えて生きている人は、実は沢山いるのではないか……〉

 しっかりした文章だ。

「これなら、今後も書評をお願いできると思っていました。それに、彼女から別の原稿も預かっていたんです」(同)

 小説だという。

「自伝的私小説でした。その感想を言おうと、新年会を兼ねて会う約束だったのですが、新型コロナでなかなか会えないまま……これからは書き手として期待していたのに、本当に残念です」(同)

週刊新潮WEB取材班

2020年9月2日掲載

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