韓国に登場したオリジナルコーラ「独立815」、国威発揚・愛国マーケティングの興亡

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コカ・コーラ帝国からの独立という意味だった

 1996年、米国のコカ・コーラ本社は韓国内のボトラーを直営の1社体制にするために韓国コカ・コーラボトリング(株)を設立し、地域ボトラー各社の吸収合併を始めた。この時、ボムヤン食品はコカ・コーラ本社側が提示した買収金額に納得せず、訴訟の末、両社は決別するに至った。

 コカ・コーラと決別したボムヤン食品は、生き残りをかけてコーラ飲料を開発。1998年4月1日に発売を開始した。コカ・コーラとの契約により製品名には「コーラ」という単語を使用できないため、製品名を植民地支配を解かれた日に因んで「815」に決定。そこにコカ・コーラを“帝国”と見なし、そこから独立するんだという意志を強調するために製品名ではなく広告文句として「コーラ独立」を入れたという。

 通貨危機で国産品愛用の機運が高まっていた状況下で発売された「815コーラ」は、その刺激的なネーミングとコカ・コーラやペプシよりも若干安い価格で話題を呼び、1999年には韓国コーラ市場の13.7%のシェアを占め、業界2位のペプシコーラを脅かすまでに成長した。これに手応えを感じたボムヤン食品は、姉妹品として815サイダー、815コーヒーソーダ、815グリーンティーなどの新製品を続々市場に投入した。

 しかし韓国の一地方でボトラー業務を行ってきた会社が、マーケティング面でグローバル大企業に敵うわけはなく、また何よりも致命的なのは、「風味でコカ・コーラなどに劣る」、「毎回買うたびに味が違う(品質が一定ではない)」といった悪評が徐々に広がり始めたことだ。そしてそこに製品の値上げが追い打ちをかけた。同じ値段なら、反米デモにでも行かない限りは、愛国心を言い訳にする企業の製品よりも単純によりおいしい製品を選びたいというのが多くの人々の考えではないだろうか。こうして815製品は徐々に店頭からその姿を消していった。

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