韓国の慰安婦支援「正義連」がゼロからわかる…従北・親北団体が解体されるべき理由

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挺対協が公開した会計帳簿から北朝鮮との関係が

 今回の正義連事態により、正義連の活動に金三石が深く関与していることが明らかになっている。2016年、中国の寧波(ニンポー)にある柳京(リュギョン)レストランの支配人として、女性従業員12人と一緒に脱北したホガンイル氏。彼は5月21日、尹美香と金三石が安城(アンソン)のシェルターに柳京レストラン脱北従業員を招待し、再越北するように懐柔したと暴露した。彼は当時、「挺対協が民弁所属の張某弁護士を通じて、懐柔対象となる脱北民たちに、毎月30万〜50万ウォンずつ送金した」といって、口座の取引履歴を公開している。

 また当時、金三石と民弁の張某弁護士などが交わしたメッセンジャーの内容、シェルターに脱北従業員が訪れた時に撮った写真なども提示した。そもそも、安城シェルターに柳京レストラン脱北従業員はなぜ招待したのだろうか、さっぱり分からない。

 挺対協に関係していた人たちの多くは、軍事独裁政権時代に学園運動と労働運動に積極的に加担していた面々だ。その点からも、挺対協が親北・反日団体の可能性が高いということは察しがつくであろう。挺対協の実行理事の多くはこのような経歴の持ち主であり、これをさらに深化して、積極的な政治・社会運動を並行している。特に挺対協の主な役員の配偶者にスパイ容疑で起訴されたり、国家保安法違反で収監生活を送っていたりしていた親北・左派性向の活動家が多いことは注目に値する。

 夫は親北・朝鮮性向活動家で、妻は女性活動家として文化運動をするという、いわゆる「分業運動」の形を構築した。これらの中には、挺対協の活動を土台に、国会議員になったり、役所の長官になったりして、挺対協の心強い後ろ楯の役割をしていたりする人も多数いる。尹美香が今回、与党の比例代表で国会議員になれたのも、これらの人脈の働きがあって可能となった。

 また、挺対協が公開した会計帳簿を追跡してみると、彼らが支援した団体と団体長の活動が、多かれ少なかれ北朝鮮と関係していることが分かる。なお、挺対協は古くから日本政府の朝鮮学校無償化除外方針や朝鮮学校への差別問題に反対する声を挙げてきたし、財団の金復東(キム・ポットン)奨学金が朝鮮学校を支援するために使われているのは有名な話だ。朝鮮学校は未だに金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)の写真を掲げておいて、彼らの偶像化教育に熱心な朝鮮総連傘下の教育機関である。

政権与党の厚い人脈が尹美香の後ろ楯に、その頂点に大統領が

 学生運動の延長線上で市民運動を主導する「活動家」は、運動の持続性を確保することを何よりも大切にしている。そうしてこそ、自分たちの追求する理念の大衆的な支持基盤を確保することができるからである。

 民主化運動の動力が消えていった1990年代以降、居場所を失いつつあった勢力が市民団体へと移動する過程で、挺対協に加担したNL(民族解放)勢力は、「加害者日本と被害者朝鮮民族」という民族主義的な言説をもって、日本軍慰安婦問題を民族の問題に単純化しつつ、運動の動力を維持していった。慰安婦被害者の福祉と名誉回復という大義は後回しにして、莫大な政府の支援金と一般市民から収めた募金は、主に運動を維持し勢力を拡大していくために使用した。若干の私的流用は別として。これは検察の捜査結果を待つほかない。

 今回の正義連事態は、長年、自分たちだけが正義であるという正義の過剰と、自分たちだけが正しいという道徳的優越に陶酔して、自分たちだけの不可侵の聖域を作っておきながら、民族という実体もない絶対的な権力を利用して、韓国国民に歴史の一面だけを眺めることを強要してきた。

 もし、自分たちの活動に異議を提起したり、批判をすることがあれば、親日派、反民族主義者というレッテルを貼って、愚昧な民衆に獲物として投げ与え、噛みつくように教唆、扇動したりもした。日韓両国の市民を過去の人質にして、和解よりは不和を平和よりは葛藤と反目を助長し、憎しみと不信だけを募らせてきた。

 いよいよ8月13日、告訴、告発されてから3ヶ月ぶりに、尹美香に対する検察の調査が行われた。そして、37億ウォンに達する補助金、寄付金の会計不正、安城シェルターの高価買取などに対する疑惑が相当部分、事実と確認されたという。

 しかし、残念ながら尹美香が拘束されることはないだろう。政権与党の厚い人脈が尹美香の後ろ楯になっており、その頂点には文在寅(ムン・ジェイン)大統領がいるからである。そして、これからも今のように、自己矛盾を抱いたまま、世の中の人を惑わせながら私腹を肥やしていくであろう。日韓の真の和解のためには、何よりも真っ先に、正義連は解体されるべきである。

李東原(イ・ドンウォン)
日韓関係史が専門の評論家

週刊新潮WEB取材班編集

2020年8月17日掲載

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