コロナ禍のカラオケ安全策は? シャンソン界重鎮に聞く

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 新型コロナの感染拡大に関連して、カラオケも槍玉にあげられている。多くの人が集まって、それぞれが大声で歌うとなれば、そりゃ気をつけるに如(し)くはない。

 日仏シャンソン協会日本支局長を務め、斯界でその名を知られる加藤修滋氏(70)は、マイクの使い方にこそ留意すべきだと訴える。

「カラオケ店ではロックやポップスの歌手のようにマイクを水平に持ち、ヘッド部が唇に接触するほど近づけて歌う客が多い。これは感染拡大の大きな要因のひとつだと考えています」

 掲載の写真を見比べれば、思い当たる人も多かろう。

「プロの歌手でも、ヘッドを口紅で真っ赤に染めてしまう人がいるほどですが、これはマイクに付いた他人の唾液や雑菌、ウイルスを舐めるのと同じ。握り締めて持つことでマイク自体の温度が上がると、むしろ雑菌には好適な環境になりかねない。それを防ぐには、シャンソン歌手のようにマイクを立て、口から離して軽く持つ必要があるのです」

 これならマイクが余計な低音を拾わず、歌声がきれいに響く効果も期待できる。

「それに、マイクや手が歌い手の顔を隠すこともありません。往年の菅原洋一や美輪明宏ら名だたる歌手たちも、この歌い方と情感豊かな表情で多くの聴衆を魅了してきたんですよ」

 加藤氏は、マイクの手入れ方法にも警鐘を鳴らす。

「テレビで見るカラオケチェーンの消毒作業といえば、マイクの表面を消毒液に浸した布で拭いてよしとするものばかり。ニュース番組は、さもそれが当然の対策だというふうに取り上げますが、実は意味がありません。マイクヘッドの内部のフェルト布地には大量の唾液とウイルスが付着するわけで、万全を期すならそこまで消毒しなくてはなりません」

 まずはマイクと口の“ディスタンス”から。

週刊新潮 2020年8月6日号掲載

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