徴用工問題…「日本に賠償金を求めるのはスジ違い」韓国の当事者インタビュー

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日本企業の資産売却と現金化が難しいのは分かっていた

Q.元韓国徴用工による損害賠償請求訴訟をめぐり、韓国の裁判所の決定で日本企業の資産差し押さえ手続きが開始されました。これについてどう思いますか?

A.どの国でも、司法や判決は尊重しなければならないと思う。判決を政治家が左右することはあり得ない。しかし、裁判所の決定通り、韓国内の日本企業の資産を売却し現金化するのは決して簡単でない。

 そもそも、日本企業が何の抵抗もせず資産売却を許すことはあり得ない。すでに日本政府が関税引き上げ、送金停止、金融制裁など、具体的な報復措置を検討しており、昨年、日本が韓国をホワイトリストから除外した時以上の深刻な打撃が待っているかもしれない。

Q.韓国では、日本企業の資産の売却による現金化の後、実質的に元徴用工に賠償金を支払えるまでは相当時間がかかるだろうとされています。

A.それが最も腹立たしい。現実的に考えてみて欲しい。前述の通り、日本政府が自国企業の資産を売却・現金化されるまで、これを放置するとは思えない。元徴用工裁判を担当した弁護士は当初、「賠償金を全部受けることができる」と自信を持っていたし、昨年も「資産売却・現金化が遅れないようにする」と言った。にもかかわらず、日本政府の対応を口実に、現金化と賠償の可能性について明確な答えを出していないのが現状だ。

Q.理事長は、日本企業の資産売却と現金化が難しいといつ感じましたか。

A.かつて、民弁(民主社会のための弁護士会)出身の弁護士から、徴用工による補償を日本企業から受けることができると言われ、訴えることを勧められ、裁判が行われたという経緯がある。

 2013年7月、ソウル高等裁判所から原告側に一人あたり1億ウォンを賠償するよう判決が下されたが、当時私は弁護士に「お金を実際にもらうことができるのか」と聞いたところ、確答は得られなかった。その時に、実際の賠償が難しいと悟った。

 被害者たちは、1997年から20年以上に亘って、日本と韓国で裁判を行ってきた。それに一体どのくらいのお金を使ってきたと思うのか、交通費、弁護士費用、食費など少なくとも2億5000万ウォン以上はかかった。

 今やっと1億ウォンを手にすることができると言われても焼け石に水である。もっと悪いことに、もらえるのかどうかかわからないのだから、利用されたとしか考えられない。

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