ドラ1「佐々木朗希」が抱える“故障” 甲子園断念騒動から1年で

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 千葉ロッテのドラフト1位ルーキー・佐々木朗希(18)が、7週間ぶりに公の場に姿を現した。入団1年目で実戦デビューとの前評判もあったが、かくも長き不在。その陰で佐々木はある“故障”を抱えていて……。

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 7月14日、札幌ドームでの公式戦前の練習で、キャッチボールを行う佐々木の姿があった。ブルペン捕手を相手に約15分間、距離を徐々に伸ばして最長で20メートルほど。あまり力を入れず、山なりの緩いボールを約60球投げた。翌日も同様のやり方で約70球。球数を増やして勢いも強くなっていったという。

 報道陣を前にボールを投げる姿を見せたのは、実に7週間ぶりのこと。原因は“体調不良”と報じるメディアもあったが、大型ルーキーに何が起こったのか。

 プロ野球を取材するスポーツライターによれば、

「佐々木は5月26日にシート打撃に初登板、自己最速に迫る160キロを投げて周囲を驚かせた。それを受け、チームは彼を6月初旬の練習試合で初登板させる意向を示していたのです」

 だが、直前になって登板は回避されてしまう。

「実は彼、このシート打撃から“右ひじに違和感がある”と訴えていたと聞いています。その後はリハビリを兼ねて、室内練習でキャッチボールを徐々に再開。ようやくお披露目が叶う状態となったわけです」

 日本球界の期待を一身に背負う佐々木に異変が起きたとすれば一大事。それだけに、彼を育成する側も破格の待遇を許しているのだった。

「佐々木を預かる吉井理人コーチは、大谷翔平を育てた自負がある。ルーキーに異変が起きれば、普通は2軍で調整させるところ、自分の目で見たいと実質的にノースロー調整を続けて、1軍帯同を許しているのです」(同)

「疲れがたまっている」

 2005年の最多セーブ投手であり、ロッテ時代に「幕張の防波堤」と呼ばれていた小林雅英氏は、

「160キロを投げると、それだけ腕や肩に負荷がかかりますから、本人がそれに耐えうる大人の身体になり切れていないのでしょう。プロというのは1年365日野球漬けで、常に野球のことを考えて身体を動かす。1日のリズムに慣れるのは、本当に大変ですし、キャンプ中から大勢の関係者や報道陣に注目を浴びて、相当疲れがたまっている筈です。とにかく今は疲労をとるのと、怪我を予防するために調整していると思います」

 そのように庇い、ロッテ球団広報も、

「5月の登板が終わった後に体が重かったので、もう少しゆっくりしたペースで調整してもよいのではとなりました。シーズン中盤に先発させられれば良いかなという状況ですから」

 と言うばかりだが、オトナたちが佐々木をまるでガラス細工の如く扱うのは、今に始まったことではない。

 振り返れば大船渡高校時代、故障に神経質だった監督の意向で、佐々木は昨年夏の岩手県大会決勝戦で登板回避。「甲子園断念」となったのは記憶に新しい。その是非をめぐり国民的議論にまでなったが、そこまでして早や1年目で“故障”となれば、あの騒ぎは何だったのかとなりかねない。

「修羅場の経験が少ないのに、プロなら160キロを投げることを要求される。これまでの練習不足が悪い方向に作用したのでは」

 と指摘するのは、大船渡高校野球部が春のセンバツでベスト4入りを果たした1984年当時の監督、佐藤隆衛氏だ。

「佐々木投手は、昨年のU-18の全日本代表に選ばれた際、1イニングで降板しています。血マメができたことが理由ですが、これは投げ込みが足りない証拠。本来、野球選手は投げ込んでマメを固くし潰れないようにするものです」

週刊新潮 2020年7月30日号掲載

ワイド特集「突然炎のごとく」より

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