東芝を襲う試練 大物弁護士が「ハゲタカファンド」側に肩入れか

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 今年はコロナ禍で株主総会を延期した上場企業が続出したが、大手電機メーカーの東芝も例外ではない。同社の場合は、例年よりほぼ1カ月遅れの7月31日の開催である。5年前の不正会計事件から始まって不祥事続きだった同社だが、3月期の営業利益は約1300億円。経営陣も少しは胸をなでおろしているのかと思ったら、思わぬ強敵が出現しているのだという。

 東芝の関係者が言う。

「その人物は、大物弁護士として知られる國廣正氏です。破綻した山一證券や長銀の調査を担当するなど企業の不祥事問題に詳しい。その國廣氏を、大株主のエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが法務アドバイザーに迎え、“愛弟子”の竹内朗弁護士など3人の社外取締役を受け入れるように要求してきたのです」

 東芝では、今年1月、子会社の「東芝ITサービス」で架空・循環取引が発覚しているが、エフィッシモはこれを材料にして、國廣氏に援軍を頼んだと見られている。

 村上ファンド系だったエフィッシモは、東芝の15%を握る筆頭株主。後に村上世彰氏と袂を分かったとはいえ、東芝からすれば俗にいう「ハゲタカファンド」である。資産売却や自社株買いなど、いずれは厳しい要求を突き付けてくる可能性がある。

「それにしても……」

 とは、先の東芝関係者だ。

「國廣先生は東芝の子会社の『東芝メディカルシステムズ』の顧問弁護士を務めていたこともある人。なぜエフィッシモ側の応援を買って出るのでしょうか」

 大物弁護士の登場で混沌としてきた株主総会だが、いっぽうで現状は必ずしもエフィッシモの思惑通りではない。

「機関投資家に大きな影響を持つ議決権行使助言会社『ISS』が、エフィッシモの提案にすべて反対することを表明しました」(同)

 とまれ、東芝経営陣にとって背筋が寒くなる「初夏」がしばらく続きそうである。

週刊新潮 2020年7月30日号掲載

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