小池都知事、“日本初の女性総理”へのシナリオ 東京五輪開催はあきらめた?

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 なにもせずとも、やっているように見せる天才が小池都知事である。彼女の妄想はどうやら、自身が初の女性宰相の座を射止めた姿におよんでいるが、目先の新型コロナ対策はどうにも心許ない。

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 たとえば、閣僚経験のある自民党のさる大物代議士は、政府の観光支援策「Go Toトラベル」キャンペーンから東京発着の旅行が除外された7月16日、

「小池百合子にしてやられた。今日の感染者286名も、昼のニュースに間に合うように自分で発表したし、やり方が上手。政府にケンカを売っているよね」

 と漏らした。事実、小池都知事は「Go To」についてまず、新型コロナウイルス感染対策との整合性を指摘し、「冷房と暖房を両方かけるようだ」と表現。そして15日に再度、

「現在の感染状況を踏まえると、実施の時期であるとか、改めてよ~くお考えいただきたい」

 と述べて牽制し、16日に都内の新規陽性者数が過去最多を記録すると、前倒しで午前中に発表。政府にたくみに圧力をかけて「東京除外」を勝ち取った。すると今度は政府に向け、

「都民が納得するような説明をしていただければ」

 と、抗議とも嫌味ともとれる言葉を投げかけた。

 菅義偉官房長官が感染増について「圧倒的に東京問題」と言うと、「むしろ国の問題」と反論するなど、無策の国に立ち向かう女リーダーを自己演出してきた小池知事。「Go To」も自ら東京除外を仕掛け、狙い通りになると国を責め、観光業の悲鳴にすり寄る。行動には一貫性のかけらもないが、状況に応じて自分を輝かせる手腕や瞬発力は並大抵ではない。まさに「やり方が上手」である。

 では、その先に、小池知事はどんな未来を思い描くのか。政治アナリストの伊藤惇夫氏は、

「おそらく国政に打って出ようという意欲があり、日本初の女性総理という目標は捨てていないと思う」

 と語る。もっとも、そこまでの緻密なロードマップは描けない、というのは衆目の一致するところで、それは緊急事態宣言後、自粛解除のロードマップがなし崩しになったことからも窺い知れる。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は、

「長く小池さんを取材してきて感じるのは、なにかが起きた瞬間、パッと思いついて感覚的に動いていくタイプだということ」

 と語り、今後しばらく彼女には逆風が吹くと説く。

「来年夏の都議選に向けて、都議会自民党は小池さんの与党、都民ファーストの会への対決姿勢を強めてきます。さらに都議会では小池与党だった公明党も、来る総選挙では自公体制で戦うため、都議会でも自民に寄っていく。つまり、小池さんは2期目で自公を敵に回し、都議会で予算一つ通せなくなることもありえます。また、新型コロナ対策に関連し、政府、官邸の小池イジメも始まっています」

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