大戸屋を狙うコロワイド暴君会長語録 「俺が“この野郎”と言ったら挨拶できるように…」

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 定食チェーン「大戸屋」への株式公開買い付け(TOB)を発表し、外食大手の「コロワイド」に注目が集まっている。M&Aによって事業を拡大し続けてきた蔵人金男(くろうどかねお)会長(72)は、“お騒がせキャラ”として知られ、過去には子会社化した企業の従業員への暴言を社内報に載せたこともあった。そんな蔵人氏は、この騒動や、大戸屋買収について怪気炎を上げていたのだ。

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「人間性を全部出せ」と

〈コロワイドが、(レックス・ホールディングスの子会社だった)レインズを買収して5年。未だに挨拶すら出来ない馬鹿が多すぎる。お父さん、お母さんに躾すらされた事がないのだろう。(中略)蚊の無(ママ)く様な声で●△×…挨拶。個人的に張り倒した輩が何人もいる〉

〈人の声の大きさは、生きる証。生命力の証。5年経って、ようやく挨拶する女性がいる。(中略)今更、この手合いには、挨拶は返しません〉

〈私が嫌いで、嫌悪感すら感じるのだろう。そのアホが、何故会社にいる?(中略)所詮、コロワイドが買収した会社。/生殺与奪の権は、私が握っている。さあ、今後どうする。どう生きて行くアホ共よ〉

――2017年にネットで拡散された社内報には、こんな文言が並ぶ。

 蔵人会長のこうした「ワンマン」ぶりは現在も徹底しているようで、たとえばつい先日、6月30日に開催されたコロワイドの株主総会でも、「会長から話を」と野尻公平社長が向けたマイクを握った蔵人会長は、

〈毎回ここにきて喋るのはあまり好きではないですけれども〉

 そう前置きしながら、

〈ネットには私への誹謗中傷が載っています。「生殺与奪の権がある」って、何と恐ろしい人なんだ、と〉

 などと、3年前にいったん収束したはずの「社内報問題」を自ら蒸し返し、気炎を上げたのである。

〈全文読めば分かるんです。派遣の女は3年以上いて名前も知りません。口をきいたこともないし、怒ったこともない。挨拶しないわけです。こんなのが何十人もいる。それを規制、抑制するために「あれ」を書いた。かといって、バカ野郎とか何も言ったこともない。その間抜けな書類(注・社内報)を、管理しないでアルバイトが外に持ち出してばらまいた。「生殺与奪の権」なんて、こんな侍みたいな恐ろしい人のところで働けませんってバカみたいなこと言ってる〉

 つまりは何ら反省していないようで、続いてこうも言うのだ。

〈日報で俺が「この野郎」と言ったら、半分ぐらい挨拶できるようになった。(中略)挨拶は自分を守る武器だから、もし頭を下げるのが嫌なら、ちょっと曲げるぐらいがいいんだと。ここ笑うところですよ〉

 ちっとも笑えない。以降、経営の苦労などを滔々と述べ、ヤジが飛んでもどこ吹く風。極め付きは、懸案である大戸屋への対応で、

〈大戸屋の前で身をさらして、自分の人間性を全部出せばいい〉

 と、胸襟を開くべきだと説いたくだりである。

〈私は人を見る目はある。酒の飲み方、飯の食い方、女の口説き方は上級編です。なんで(仲間と)一緒に飯を食うのか。マスコミは僕を「牽強付会」だって言うけど(中略)、(人間の)本能は「寝る」「食べる」「セックス」。この三大本能のうち「食べる」を一緒にすれば、愛が深まって同じ釜の飯となる。僕は信じているけど、マスコミはそれにもケチをつけるでしょ、バカな野郎だな〉

 云々……。独自の経営哲学をお持ちであるのが嫌でも伝わってくるスピーチだ。が、こうした人物が幅を利かせている企業に敵対的TOBを仕掛けられる大戸屋は、災難としか言いようがない。

週刊新潮 2020年7月23日号掲載

特集「株主にひた隠し! 『大戸屋』買収『コロワイド』暴君会長の『32億円M資金詐欺』」より

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