ウオッカで投票率アップ? ロシア憲法改正選挙 “プーチン延長”に78%が賛成の真相は

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 ソビエト崩壊以来、“民主主義国家”として生まれ変わったロシア連邦で、7月1日に行われたのは憲法改正の国民投票である。

 その内容は、プーチン大統領(67)が最長で2036年まで大統領の座に居座れるようになるもの。プーチン氏の“独裁”が約束されたかにも見える今回の改正だが、驚くべきは、78%という賛成票の多さである。

 元時事通信モスクワ支局長の名越健郎氏によれば、

「プーチンが憲法改正を打ち出したのは今年の1月。その時点では、大統領の任期について触れていませんでした。それが3月になって突然、政治的安定が必要と言いだし、大統領任期の延長が持ち上がった」

 コロナ禍で延期されたものの、当初予定されていた投票日は4月22日。国民を急き立てたかったようだが、

「ロシアにとってプーチン政権以前の政治混乱と経済低迷はトラウマ。だから、あの悪夢の時代に戻りたいかと言われれば、高齢者を中心にプーチンを支持する人が多いのは事実です」

 一方で、

「若者たちは、コネがなければ良い就職先にもありつけない現代の社会に不満を持っている。若者の実に半数が国外脱出を希望しているという世論調査もあったくらいですから」

 やはり、78%という賛成票には首を傾げざるを得ないのだ。

 では、この数字にはいかなるマジックが隠されているのか。

 ロシア問題に詳しい国際問題研究家の瀧澤一郎氏は、

「投票率や票数は当局によって操作されていると見て間違いないでしょう。かつては投票が監視され、反対票を投じればシベリア送りとなったようなお国柄。今回はそんなことはなかったでしょうが、投票率を上げるため、投票所では相変わらず、旅行券やウオッカの景品が配布されたといいます」

 民主主義よりアルコール?

週刊新潮 2020年7月16日号掲載

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