レジ袋、何度も使えてエコなのに… 活動家への違和感(中川淳一郎)

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 レジ袋が有料化されました。環境問題を考えてというのですが、これって意味あるんですか? エコバッグに店員が商品を入れるにしても、そのバッグにコロナウイルスがついていたら店員が危険です。自分で入れると、袋詰めに慣れた店員ほどの機敏さがないわけで、後ろの客からの圧力を感じるようになります。

 家庭内での行動を考えてみれば分かるのですが、そもそもレジ袋って生活必需品なんですよ。私は、小型ゴミ箱にレジ袋をセットしてゴミを投入していきます。キッチンシンクの「三角コーナー」に溜めたゴミも水分があるため、小さ目のレジ袋に入れてからゴミ箱に捨てます。それが一杯になったら、さらに大きな45リットルのゴミ袋にまとめて、収集日に出します。缶ビールを飲んでも、分別収集用としたレジ袋に空き缶だけを入れていきます。

 レジ袋って、家庭から排出されるゴミにとっては必要不可欠の存在なので、「店で買ったものを詰めて運ぶ」をした後も立派に再利用されているんですよ。実にエコではありませんか!

 自分が生きてきた46年間を思い返すと、家には常にレジ袋が存在し、八面六臂の活躍をしてくれていた。子供の頃、コンビニで飲み物を買い、レジ袋はリュックに入れて歩いていたら川があったので、覗くと、ザリガニがいたので捕獲。かわいいのでペットにしようと思ったら、「持ち帰れないよ~」。でもそこにはレジ袋が! 川の水とザリガニを袋に入れ、無事、我が家のペットになったのでした。

 さまざまな側面で必要なので、私は店に行ったら有料でレジ袋を買います。買わない人でも、いつか生活必需品だと気付く。コンビニではマイバッグを使うけどやっぱ必要……そう思った人は100枚99円で売っているポリ袋を買うわけで、結局削減されないんですよ。

 割り箸はエコではない!とばかりに「マイ箸」を持ち歩く人もいますが、住宅の柱1本は割り箸だと何膳分になるのか。我が家にある本棚を見ても、これ一つで数千膳は必要だろ……なんて思います。あと、我が家では竹の割り箸を日々の食事で使っているのですが、これは100本285円で、100本195円の木の割り箸よりは高いです。木がダメなんだったら竹じゃダメなの?

 こういった運動って欧米の左翼から始まりますけど、あいつらって、「鯨は知能が高いから殺しちゃいけない!」みたいな主張をするわけですよ。鯨油だけ取ってあとは捨てていた国のヤツらがどの口で言うんだよ。

 黒人の命も大事、を意味するBLM運動にしても、過去に奴隷制を容認した政治家の銅像を引き倒したりする暴動に発展している。そして、アメリカのシステムが悪い、とまくしたてる。諸悪の根源を見つけたと思ったら徹底的に糾弾し、時には暴力も厭わない。なら、自分らだけの自治区域をどこの国の持ち物でもない南極に作り、そこに同じ思想を持つ白人も黒人も黄色人種も一緒に住んでくれよ。なんなら月でもいいし。

 人間なんて生きているだけで環境破壊する存在なんですよ。それを批判する彼らも同じなのに、なぜ活動家は自分だけは特別だと思うのだろうか。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2020年7月16日号掲載

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