受信料でNHK初敗訴! 「イラネッチケー」は普及する? 開発者に聞く

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 NHKが映らないテレビであれば受信契約を結ばなくてもいい――。6月26日に東京地裁が言い渡した判決は、NHKに受信料裁判での初敗訴を突きつけた。「イラネッチケー」なるフィルターがポイントだったのだが、今後、このシロモノが世の中に広がれば……。

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 今回の裁判は、東京都内の女性がNHKの映らないテレビを自宅に設置したことをめぐり、受信契約を結ばなければならないのかを争っていた。NHKとしては当然、契約すべしとお高くとまっていたわけだが、その主張が見事に覆されたのだ。となれば、「NHKの映らないテレビ」にするため、NHKの放送の信号を除去するという新兵器、イラネッチケーとはいかなるものかが気にかかる。開発者である筑波大の元学生に訊ねると、

「名前の由来はNHKに“要らねえ”を掛け合わせた言葉遊びです。以前、卒業研究として作りました。技術的なハードルは低く、研究室の先生のご指導で、すぐに実現できました。いま、それを販売しています」

 ちなみに、ネットで購入可能。5800円也。NHKの地上放送のみなら、振り込みの場合2カ月で2620円だから、お値打ちかもしれない。

テレビに入れ込む

 しかし、ただフィルターをテレビにつけさえすればいいわけではない。開発者の元学生の言う「先生」、筑波大システム情報工学研究科の掛谷英紀准教授にレクチャーをお願いしよう。

「私は原告女性から相談を受けて技術的な協力をしました。同種の裁判ではイラネッチケーを取り付けても、外すことができるので、それでNHKが映るようになってしまって敗れています。だからイラネッチケーが絶対に外せないようにした。それで、まだ一審ではありますが、勝ったのです」

 この“イラネッチケー内蔵テレビ”を作るには、

「まず、テレビ本体のアンテナ入力端子とチューナーの間に、NHKの信号のみを減衰するフィルターを割り込ませます。外から触れぬようテレビの中に入れ込みました。そしてアクリル板とアルミ箔を重ねた板で、テレビのチューナーとイラネッチケーを覆う枠を作る。そこにエポキシ樹脂を流し込んで固めました。電波を遮断するために樹脂の間にアルミ箔を重ね、その上からさらに樹脂で固めます。イラネッチケーを外そうとしてもテレビ自体が壊れるように加工したわけです」

 市販の薄型テレビは薄すぎて加工に向かないそうだ。同じ加工ができそうなテレビがあっても、相当な知識と技術が必要。一般市民には、ハードルが高い。ただし、経費を少しでも削りたい中小規模のホテルからは問い合わせが入っているという。

「電機メーカーは技術的には製造可能ですが、そもそもこのようなテレビを作る会社はありません。NHKはテレビ関係の技術の特許を多数保有しており、メーカーはその特許を使ってテレビを作っているからです。なので、個人家庭向けに“イラネッチケー”を商品化するのも現実的ではないということになります」

 かくなる上はマンパワー。手先の器用さ、腕に覚えのある方は、ぜひ!

週刊新潮 2020年7月16日号掲載

ワイド特集「この人たちの『新天地』」より