コロワイド「お騒がせ会長」が32億円の詐欺被害に 大戸屋買収に暗雲

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 今月9日、外食大手「コロワイド」が定食チェーン「大戸屋HD」に対し株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表し、大戸屋サイドからの猛反発を受けているのは報じられたとおり。そんな折も折、TOBの行方を左右しかねない事実が明るみに。コロワイドを実質的に率いる蔵人金男会長(72)が、32億円もの巨額詐欺に遭っていたのだ。

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“お騒がせ”で知られる蔵人会長を有名にしたのは、2017年にネットで拡散された社内報『コロワイドタイムズ』だった。買収によって拡大を続けた同社であるが、蔵人会長は社内報への寄稿で〈個人的に張り倒した輩が何人もいる〉〈どう生きて行くアホ共よ〉と、買収先企業の社員に向けて“発信”。これがパワハラではないかと物議を醸したのだ。

 そんな蔵人会長が巻き込まれた巨額詐欺とはどのようなものか。6月11日、神奈川県警は1億3000万円を騙し取ったとして3人の男を逮捕。被害者については「県内在住の70代男性会社役員」としか発表されていないが、この男性こそ蔵人会長だったのだ。

「会長が騙されたのは典型的な『M資金』の手口ですが、“身元が明かされないようにしてほしい”との強い意向もあって、これまで一切、表沙汰にはならなかったのです」(捜査関係者)

 容疑者の男たちは、蔵人会長から約1億9000万円を詐取した容疑で7月1日に再逮捕。蔵人会長が騙し取られた総額では31億5000万円にも上るという。その舞台装置となった「M資金」とは、昭和の時代からたびたび繰り返されてきた詐欺手口で、架空の巨額融資を持ち掛け、信用した相手から準備金などの名目で金銭を引き出すというものだ。

 企業法務に詳しい高橋弘泰弁護士は、この被害による大戸屋買収への影響をこう分析する。

「経営トップが詐欺に引っかかったと公にすれば、会社のイメージにとって決してプラスにはなりませんし、株価が上がる要素も全くない。となれば、大戸屋HDの株主が、コロワイドが呼び掛けているTOBに賛同するのでは難しくなるのでは」

 詐欺被害についてコロワイドに尋ねると、

「コメントすることはございません」

 との回答。7月16日発売の週刊新潮では、詐欺被害の背景、蔵人会長のパワハラ語録などと併せて詳報する。

週刊新潮 2020年7月23日号掲載

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