BTS、日本で4枚目のアルバム…韓国では「日本語で歌わないで」と国や事務所に抗議が

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大統領府宛に、「日本に文化的屈従をするようになる」と書き込み

 実際、国際アルバム産業協会(IFPI)の調査によると、2016年の日本の音楽市場規模は27億4590万ドル(約2949億円)で、米国に次ぐ世界2位。3億3010万ドル(約354億円)で8位の韓国との差は歴然。地理的に近く、似たような大衆文化を持つ日本市場で、より高い収益を生み出すためには日本語による現地化戦略は欠かせないというわけだ。

 韓国や米国などほとんどの国で絶えてしまった「CDアルバムを購入する文化」は日本にまだ残っており、実際、日本のCD販売数は世界1位を記録している。所蔵価値の高い限定版CDであればあるほど販売数が見込めるし、握手会のようなイベントを通じてさらにCD販売数のアップにつながる。

 日本の音楽市場でCDはストリーミング、ダウンロードよりもはるかに大きな比重を占めている。日本レコード協会(RIAJ)によると、2019年の市場規模2997億6000万円のうち、CDは68.9%。クリック数による広告単価などを受けとるストリーミング、1曲当たりの著作権料が策定されるダウンロードより、1枚当たり3000円程度のCD販売は効率的な収益確保が可能な構造である。

 このような現地化戦略の背景を知っているか否かは別にして、韓国人の一部は、BTSが日本語で歌を歌うことに対して遺憾を表明してきた。KポップがJポップを抑えてアジアの大衆歌謡の象徴にならなければならない重要な時期に、その代表走者であるBTSが日本語の歌を歌うのは正当ではないというわけだ。あるユーザーは「日本語バージョンアルバムには韓国アルバムにない歌がある」とし、「グローバル海外ファンのために英語バージョンの歌を歌わないBTSが、日本語バージョンの歌だけを歌うのは残念だ」と話す。

 こういった主張はアーミーの真摯な異議申し立てというよりはむしろ、反日がアーミーに成り代わって所属事務所へ圧力をかけているようにも映るのだが……。ともあれ、他のユーザーは「海外のファンは韓国語の歌詞を覚えて真似しているが、日本のファンは韓国語の歌詞が分からなくなる。一貫性を保ち、日本でも韓国語の歌を歌わなければならない」とも。

 あるいは、「誇らしいBTS、もう日本語アルバムはやめよう」という呼びかけには多数の擁護の書き込みがあり、「日本語アルバムを出す必要はない。日本語の歌を聞くとBTSの質が落ちる」「ワールドクラスなら日本語で歌う必要はない。世界中のファンにBTSの日本語の声を聞かせてはいけない」などの反応があった。

 国民が政府に対して要望を書き込める青瓦台国民請願掲示板にもこの話題は登場している。たとえば「BTSは日本語アルバム発売を中断しなければならない」という請願は、大いに注目を集めた。請願者当人曰く、「所属事務所は日本語バージョンを要求する日本エージェンシーに振り回されて日本語アルバムを出している」とし「Kポップが日本語バージョンに編集されればその意味が歪曲され、日本に文化的屈従をするようになる」と強調。

 別の請願人は「日本語のアルバムには本当に怒りを感じる。日本語のアルバムはKポップのアルバムではなく、Jポップのアルバム。これが親日や売国でないなら何だというのか」とし、日本語のアルバムを出す芸能事務所への政府支援を禁止することを主張した

 ある芸能メディアはそういった声に配慮してか、「全世界にKポップを広報しているBTSが、日本でだけは日本語のアルバムを出すのは苦々しい」と指摘している。

張惠媛(チャン・ヒェウォン)
建国大学広報大学院でジャーナリズムの修士号を取得、漢陽大学政治外交学科大学院で国際政治を専攻。世界日報、東亜日報、KBSなどで記事編集に携わった後、フリーに。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年7月15日掲載

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