「有吉の壁」、ギャラクシー賞受賞に驚く制作スタッフ バラエティ番組に変革の機運

エンタメ 芸能 2020年7月10日掲載

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 4月からレギュラー化した「有吉の壁」(日本テレビ)の評判が良い。もともと不定期で放送されていた特番の頃から、ネット上では絶賛されていたのだが、放送批評懇談会が選定するギャラクシー賞の5月度月間賞を受賞した。何しろ一番驚いたのは、番組スタッフだったとか。改めて「有吉の壁」と他のバラエティ番組との違いを考えてみる。

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「有吉の壁」の番組コンセプトは、さまざまなジャンルの“お笑いの壁”にチャレンジし、芸人として成長する、というもの。分かりやすく言えば、MCの有吉を笑わせるべく、芸人たちが彼のムチャ振りにどれだけ即興ネタ、面白いボケで対応できるかが問われるバラエティだ。たとえ切り抜けられたとしても、さらに次のムチャ振りにどう対応するかを、視聴者は面白がって見ている。

 6月22日、そんな「有吉の壁」がギャラクシー賞に選ばれたことが発表された。ちなみに、ギャラクシー賞とは《日本の放送文化の質的な向上を願い、テレビ、ラジオの番組、関係者を顕彰する》もの。5月度に選ばれたのは4番組で、他の3つは以下の通り。

○新日本風土記スペシャル「松本清張・鉄道の旅」(NHK):5月8日放送

○ザ・フォーカス「ムクウェゲ医師の終わらない闘い」(TBS):5月17日放送

○NNNドキュメント’20「クリスマスソング 放射線を浴びたX年後」(日テレ系/南海放送):5月24日放送

 いずれもドキュメンタリー番組で、バラエティ番組で唯一の受賞だったことがわかる。「有吉の壁」の選考理由にはこうある。

《純粋なお笑い番組を成立させることが難しくなっている昨今のテレビの状況のなかで、ゴールデンタイムのレギュラー番組として「お笑い」だけにこだわった放送を続けている。司会の有吉弘行による芸人愛あふれるムチャ振りに対し、苦しみながらも楽しそうにお笑い脳をフル回転させている芸人たちの姿は多幸感に満ちている。》

 なんだか崇高な番組のように思えてくる。民放プロデューサーは言う。

「確かに、純粋なお笑い番組はなくなっています。ここ数年、芸人に求められるのは、トーク力ですからね。明石家さんまさんやダウンタウンの影響だと思いますが、『アメトーーク!』(テレビ朝日)に代表されるように、○○芸人といった“くくりトーク”は、他の番組がマネするほど、お笑いにおける1つの形になっています。結果、芸人同士のトーク番組となり、他の芸人がイジりやすい“ボケ・トーク力”は必須になりました」

「アメトーーク!」で人気に火がついた芸人を挙げればキリがない。

「博多華丸・大吉やサンドウィッチマン、サバンナの高橋茂雄、ケンドーコバヤシ、麒麟の川島明、千鳥、狩野英孝……などなど。ところが、漫才の『M-1グランプリ』(テレ朝系)やピン芸人の『R-1ぐらんぷり』(フジテレビ系)、コントの『キングオブコント』(TBS系)、女芸人の『THE W』(日テレ系)の優勝者であっても、トーク力がなければ1年も持たないこともある。フリートークやネタトークが面白い芸人でないと、今のバラエティ番組で生き残れないんです」(同)

 そんな状況の中で現れたのが「有吉の壁」だった。

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