NiziU…日本人中心のユニットが、世界の音楽シーンで台風の目となれるのか

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日本人メンバー中心に固めた「NiziU」は新たなモデルケースとなる

 今もそうだが、BTSなど男性ユニット全盛の韓国において、TWICEをはじめ、IZ*ONEなど、外国人メンバーを加えた少女ユニットが頭角を現してきたのは、ひとえにプロデュース力であり、ジェンダーの要素は大きくない。

 韓国ではデビューまで練習生として長い時間徹底的に育成し、完成品としてデビューさせるのがこれまでのパターンであった。

 ところが日本では、AKB、古くはおニャン子クラブなど、芸能人として完成したタレントよりも、推しメンを見つけて応援して育てていく方が日本人受けする。そのため、秋元康らによる日韓合同プロジェクト『PRODUCE 48』では、日本からのAKBメンバーが、完成度が高い練習生出身の韓国人候補生に水を開けられる結果となった。

 NiziUのメンバーは韓国での厳しいレッスンを受けたとはいえ、練習生として年季の入った他の韓国ユニットと比べれば実力のほどは未知数である。

 世界で通用するアーティストを目指すからには、ファンが推してくれるからという甘えは存在しない。世界のショービジネスは実力第一主義なのだ。

 これまで英語の歌でなければアメリカの音楽界は成功しないと言われてきたが、韓国語で歌っている「カンナムスタイル」が受け入れられたように、歌をトータルでひとつと考え、言語の壁はなくなりつつある。

 だが、考えてほしい。「カンナムスタイル」を歌ったPSYは英語が堪能であり、アメリカ現地でのコミュニケーションに問題はない。もちろん、英語を話せるメンバーもいるし通訳を介すれば済む話であるが、言葉ができることはひとつの武器になる。

 それだけではない。J.Y.PARKが大物音楽プロデューサーとはいえ、音楽業界関係者以外での知名度の問題がある。要は知名度を上回る歌を発表すればよいのだろうが、プロモーションなどを含め、成功へ至るまでの課題は山積しているといえる。

 これまでガラパゴスだった日本の音楽界に、アジア人でも世界に通用する音楽が作れる示したK-POP界の重鎮J.Y.PARKが、J-POPとは違った形でNiziUを進化させることができるのか、今後の動向が注目される。

土田真樹
1989年より韓国に留学。高麗大学大学院を経て文化情報誌ソウルスコープに就職。映画担当記者として活動する傍ら、キネマ旬報、スクリーン、AERAなどをはじめとするメディアに寄稿する他、韓国映画日本語字幕制作、劇場用パンフレットに解説を執筆するなど、多岐にわたって韓国映画情報を日本に向けて発信している。近年は日本映画、韓国映画の製作にも参加しており、最新作は日韓合作映画「ゴーストマスク~傷~」(監督:曽根剛)

週刊新潮WEB取材班編集

2020年7月7日掲載

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