韓国の不買運動1年、日本企業の支援なしに不買は成立しないという皮肉

国際 韓国・北朝鮮

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代替品があるか否か

 韓国の不買運動は、以前にもあった。戦後50年の節目である1995年と「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史教科書が検定に合格した2001年、島根県が「竹島の日」を制定した05年に一部の市民団体が不買運動を提唱したが、いずれも不発に終わった。

 李明博元大統領の竹島上陸を機に日韓関係が悪化し、朴槿恵前大統領が告げ口外交を展開した2013年にも市民団体は不買を提起したが、1日で終わっている。

 韓国の不買運動は代替品が影響する。2013年の不買は消費者がそっぽを向いた。アサヒビールより味が劣る韓国ビールをなぜ飲むのかと反論したのだ。一方、今回は状況が変わっている。青島やハイネケンのほか、さまざまなビールが市場に出回り、日本ビールを飲まなくても代替品はたくさんある。

 韓国ユニクロはヒートテックが売上を牽引する。
 韓国首都圏の冬は氷点下10度以下まで冷え込むからだ。2010年頃から中高生の間で、寒さ対策としてアメリカブランドのノースフェイスが流行した。ノースフェイスを着ていない生徒はいじめに遭い、ノースフェイス欲しさに盗みで捕まる中高生すら現れた。寒さ対策の主役が高価なノースフェイスから安価で誰もが手に入れることができるユニクロのヒートテックに変わると、いじめはなくなった。ヒートテックは、韓国の冬になくてはならないアイテムになったのだ。

 不買運動がはじまった暑い盛りの7月には、ユニクロの代替となる商品はたくさんあったが、ヒートテックを代替する品はない。冬仕度がはじまる10月になり、消費者が戻りはじめた。しかし、2019年から20年は暖冬で韓国ブランドでも対応できた。極寒だったら売上げはさらに戻っていただろう。

 クルマ業界も光と陰がはっきりとしている。韓国日産は不買と新型コロナのダブルパンチで先行きが見えなくなって撤退に追い込まれたが、トヨタのレクサスは客足が戻っている。
 2017年5月に就任した文在寅大統領は、環境対策車の普及を公約に掲げている。米テスラが上陸し、各メーカーは電気自動車を投入したが、充電インフラに不安を感じる人々は、ハイブリッド車を選択した。ハイブリッド車はトヨタとホンダ以外に選択肢はない。

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