吉村知事、「コロナ第2波」でも営業自粛は求めない 経済を止めるリスク言及

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映画館や劇場の「見直し」

 ところで、国の専門家会議はいまなお「新しい生活様式」の順守を訴え、安倍総理も同様だが、これに縛られるかぎり、社会経済活動が制限され、守られない命もある。それについて吉村知事は、どう考えているのか。本誌(「週刊新潮」)の問いに、次のように語った。

「ソーシャルディスタンスは基本的に必要だと思っていますが、社会的に大きなコストがかかる場面で、いま求めている措置が今後も必要かどうか、よく考えたいなと思います。たとえば映画館で左右2席ずつ空けるとなっても、1人が5人の入場料を払うわけではありません。映画館や劇場は何席空けろ、というのは国や業界でガイドラインを作っていますが、大きな社会的コストを伴うので、6月中は感染状況をよく見て、7月中にもどうするか判断したいと思います。ずっと何席も空けてやってください、と言っていたら営業が成り立たないので、詰めて座ってもそんなに感染が広がらないのであれば、徐々に対応していく必要があるだろう、という問題意識はもっています」

 そして、あらためて西浦モデルに対しては、

「オープンな場で議論を戦わせてほしい。今後の国家戦略のためにも、それをぜひ国にやってもらいたいな、と思います」

 と強調した。

 ところで、吉村知事が繰り返す社会、経済へのダメージの象徴であろう。大阪を代表する老舗ふぐ料理店、新世界や道頓堀の「づぼらや」が、緊急事態宣言を受けて自粛したまま、営業を再開できずに閉店する。店頭の巨大なふぐの提灯が外国人観光客にも大人気だったが、インバウンドが失われた状況を、吉村知事はどう評価しているのか。

「今後は水際対策が、すごく重要になってくると思います。一人ひとりへの検査を、僕はしっかりやってほしいと思っていて、大阪府には権限がないので、7月にも要望を国に出していきたいと思います。そもそも、陽性者を入国時に隔離できたら、国内では感染が広がらないわけですから。どこかで徐々に入国者も増えていくわけですが、なし崩し的に増やさないのが重要じゃないかと思います」

 しかし、現実にインバウンド消費は減っている。

「それで大きなダメージを受けているのは間違いないです。ただ、もう一つ言えるのは、日本から海外に行く人も減っているので、内需が増えると思う。いままでのアウトバウンドがない分、今後は内需の取り組みに力を入れたいな、と思っています。もともと旅行産業で言うと、22兆円くらいが国内需要で、インバウンドは4兆円くらい、アウトバウンドが2兆円くらいで、実は、日本国内の需要のほうが圧倒的に高い。インバウンドが戻ってくるまでは、国内の旅行者を大阪に呼び寄せる政策に、力を入れたいと思います」

 そして、こう締めた。

「全部シャットダウンしたときの犠牲は強烈で、逆に命を守れない、という問題意識です。これは国やほかの自治体もやるべきだと思うんですけどね。国に任せて感染者が増えてきたら同じことをし、“命を守るために必要だ”と言えば、 だれも反論できない。そのほうが僕らのリスクは小さいけど、社会、経済を止めることのリスクを追及し、感染対策と両立させる戦略や道筋を示すのが、政治の役割だと思います」

 実は吉村知事は、守るべき命には幅広く目を向けるべきだ、と訴えているだけである。いま日本に求められるのは、そんな常識を当たり前に受け入れる柔軟性ではないだろうか。

週刊新潮 2020年7月2日号掲載

特集「『吉村知事』大いに吼える!」より

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