子会社売却で「いきなり!ステーキ」に特化 ペッパーフードサービスは再生できるか

ビジネス 企業・業界 2020年6月26日掲載

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舵取りを誤る

 なぜここまで赤字が拡大したのか。

「ひとつは、『いきなり!ステーキ』の急速な店舗展開にあります。2013年に1号店を開店し、それから急速に拡大しています。17年末には188店、18年末は397店、19年末は493店と、わずか6年で500店近く増やしています。フード系で500店といえば、大規模チェーン店です。普通は20~30年かけてその規模にします。6年間でこの数は早すぎです。しかも、いきなり!は18年4月から対前年同月比でずっとマイナスが続いているのに、18年は200以上も出店しています。経営の舵取りを誤っていますね」

 一瀬邦夫社長はシェフ出身という。

「一瀬社長がCMに出て、店の看板にも社長の写真が出ています。こういう会社は、めったにありません。要は、出たがり屋なんですね。派手な経営をやりたがる、猪突猛進タイプの経営者です。ですから、店舗の売り上げがマイナスに転じても、店舗拡大にブレーキがかからなかったのでしょう」

 急速に店舗を拡大したため、従業員教育が間に合わず、接客サービスの低下を招いたとも言われる。それが客離れにつながったという。さらにアメリカ進出も足を引っ張った。

「いきなり!は、17年にアメリカに進出しました。米ナスダックにも上場しています。ステーキの本場に進出して、ナイフとフォークを持ち立って食べるなんて、アメリカ人からすれば違和感があったと思いますよ。だから、全然相手にされずに、すぐに撤退しました。明らかに、マーケティング分析が不足しています。国内の店舗も同様ですね。イケイケドンドンで店舗展開しましたが、店同士が近接したところにあって、客を奪い合っています。消費動向など、しっかり調べたとは思えません。会社の規模が急激に大きくなると、経営管理能力が問われますが、それを補佐する人材が不足していると言わざるを得ませんね」

 ペッパーフードサービスは、今後どうなるか。

「株価が暴落しているので、新株予約権で増資することができません。ペッパーランチを売却して100億円が入っても、一時しのぎにしかならないでしょう。レストラン業界はコロナの影響で、営業を再開しても密をさけるため、客の間隔を倍にしています。当然売上も半分になるわけで、こんな状況下では、いきなり!は立ちゆかなくなる可能性が大きいですね。お先真っ暗とみています」

 お先真っ暗とは、打つ手がないと言われたも同然である。

「将来的には、会社全体がフード系大企業の傘下になるのではないかと思われます。あるいは、ファンドに身売りして、それから他の外食企業の傘下になるかです。一瀬社長は会社を売却することで、創業者利得が入ります。どこの傘下になるかはまだわかりませんが、いろんな業種をどんどん取り込んでいる、甘太郎やかっぱ寿司、フレッシュネスバーガーを展開する『コロワイド』あたりが、狙っているのかもしれませんよ」

週刊新潮WEB取材班

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