「麒麟がくる」は史上最も主役の存在感が薄い大河 それでもナゼ人気なのか?

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長谷川を主役にするには回数減が理想

「別に全44話にこだわらず、もっと短くしても良かったと思いますけどね」(同)

 どういうこと?

「数字が良いのは、主役の明智光秀(長谷川博己)があまり活躍していないからです。当初は斎藤道三を演じた本木雅弘さんの圧倒的な存在感が注目されました。その道三は息子の高政(伊藤英明)に討たれますが、その戦に光秀は間に合いませんでした。また、先週の桶狭間の戦いにも、光秀は間に合っていません。もちろん、光秀が桶狭間に参戦したなんて史実はないのですから当然ですが、主役なのにほとんど出番のない回さえありました。これほど主役の存在感が薄い大河は珍しい。まあ、よくよく考えてみれば、三日天下の光秀のクライマックスといえば、“敵は本能寺にあり!”くらいですからね。信長の部下の中では確かに出世頭ですが、秀吉のように一夜城であるとか、派手さがないんです。せいぜい延暦寺焼き討ちで、“なで斬り(皆殺し)”を命じたことと、丹波攻略で信長に褒められたというくらいしか知らない人が多いのではないでしょうか」(同)

 確かにこれまでの大河でも、光秀はそう描かれてきた。

「信長一代記である『信長公記』に光秀が初登場するのは、桶狭間(1560年)の9年後、本圀寺の戦い(1569年)です。ですから、これまで放送された光秀については、フィクションの部分が多いわけです。これまで光秀は鉄砲への関わりがずいぶん描かれてきましたから、3000丁の鉄砲で武田軍を破った長篠合戦(1575年)も見せ場になるかもしれません。そういう武将を主役にしたくらいですからね。戦国時代には、脇役として登場するしかないんです。残りのストーリーはもっと凝縮することも可能でしょう」(同)

 本木雅弘の道三亡き後は、染谷将太の信長がドラマを引っ張っている。

「演技力には定評があるとはいえ、童顔の染谷を信長に起用したNHKの狙いは当たっていると思います。視聴者の信長イメージを覆すことで、話題にもなった。また、NHKの大河の強さを見せつけられるのが、配役の豪華さです。織田信秀に高橋克典、豊臣秀吉に佐々木蔵之介、朝倉義景にユースケ・サンタマリア、足利義輝に向井理、今川義元に片岡愛之助、松永久秀に吉田鋼太郎と、アップの画面に耐えうる役者を取り揃えています。愛之助が演じた義元の最期も、もはや顔芸と言えるほど表情が印象に残りましたからね。さらに堺正章、石川さゆり、ナイナイの岡村隆史など、様々なジャンルの人気者をちょいちょい入れてくる。代役で基調を演じる川口春奈も演技力はともかく、アップの目力は若手女優No.1と言っていいほど。贅沢すぎるキャスティングです。これだけ揃えて、視聴率が一桁だったら、民放だったら袋だたきに遭いますよ」(同)

 放送再開後、まずは義輝=向井理の壮絶な最期あたりが見所だろうか。光秀の活躍はまだ先になりそうだ。

週刊新潮WEB取材班

2020年6月14日掲載

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