不倫騒動のアンジャッシュ・渡部建 ツッコミ嫌いのエリート芸人ゆえの壁

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「みんな心に渡部を飼ってる」

「みんな心に渡部を飼ってる」。アンジャッシュ渡部建と交友がある、有吉弘行の発言だ。ついその道の「ツウ」ぶって、ウンチクをかましたくなる気持ちを例えたらしいが、絶妙だと思う。知識や経験をひけらかしてみたい。玄人顔負けですごいと言われたい。特別扱いされてみたい。そういう気持ちは少なからず誰しもある。心の中の「渡部」を、飼い慣らせる人と飼い慣らせない人がいるだけなのだろう。

 飼い慣らせる人とそうでない人の違いは、「心に有吉を飼えるかどうか」ではないか。自分の言動を、悦に入っちゃってダサいよお前、と冷静に見ることができるかどうか。渡部は複数の女性との不倫関係を暴露され、「不徳の致すところ」と語った。しかし彼になかったのは徳というより、手厳しい「ツッコミ」の存在ではなかったかと思うのである。

 今回の騒動も、渡部は徹底的に「ツッコミ」を排除したかったように見える。報道前に降板を申し入れた先行自粛型の対応。第一報直後には「妻にも説明し、謝罪しました」と発表。家族と関係者には謝罪済みなんだから、それで十分でしょ、と言わんばかり。確かにその通りである。だが対応があまりに早く鮮やかすぎるので、妙に小賢しい印象が残ってしまうのも事実だ。

 もともとアンジャッシュはボケとツッコミを明確に分けていない。ただ相方の児嶋一哉が「児嶋だよ!」の持ちネタを持っているのに対し、渡部自身の持ちネタはない。それは明確に、なんとなく児嶋の方が突っ込みやすい、と周囲からも思われていたからではないか。

 爆笑オンエアバトル第5代チャンピオンといえど、最近の渡部はお笑いよりもグルメに軸足はあった。野球や心理学にも詳しく、幅広い分野での器用さがうかがえた。顔もいいし声も聞き取りやすい。ラップも歌えて物腰も柔らかい。その全方位に見せるソツのなさこそが、多くの有名番組のMCに抜擢されていた理由だろう。そして、ある意味ではそのスキのなさこそが、他の芸人たちからツッコミづらいと思われていた部分ではないだろうか。ついには若くて可愛い有名人の妻を手に入れ、渡部の器用さは盤石のものとなった。うがった見方をすれば、世間知らずの若い妻なら、家庭でも余計なツッコミはないだろうと思ったのかもしれない。

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