小池都知事vs菅官房長官 女帝と策士、都知事選めぐる暗闘

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 今月1日、自民党の二階俊博幹事長に呼び出され、平河町の党本部に集まったのは、鴨下一郎会長をはじめとする自民党東京都連幹部の面々だった。

 都政担当記者によれば、

「議題はズバリ、7月の東京都知事選について。“勝てる独自候補”の擁立が絶望的となった都連に対し、二階さんが小池百合子都知事への支援で腹を決めるよう迫った。“党本部の意向に従え”と暗に圧力をかけたというワケです。ところが都連の幹部らは、奥歯にものが挟まったような口ぶりで、小池支持を確約するには至らなかったといいます」

 これまで、打倒小池を旗印に、都連は都知事選候補を血眼になって探してきた。しかし“勝てる候補”を見つけあぐねる都連を尻目に、小池知事は二階氏に接近。

「昨年の暮れには、二階さんから都連に対し、3月までに“勝てる候補”が見つからなければ小池を支援しろと最後通牒が突き付けられた」

 頭を抱える都連にとどめを刺したのは、小池知事と安倍総理の手打ちであった。

「3月に入って、新型コロナウイルス対策と五輪延期を巡って総理と知事はたびたび面会。彼女に休戦を持ちかけられた総理は“どうせ負けるのなら”と応じたのです。これにより、萩生田光一文科相や下村博文選対委員長など、総理に近い都連幹部は手の平を返し、小池支持という“党本部の意向”が既定路線となったかに思われた」

 それでも“都連の意向”が定まらないのは、

「未だに水面下で独自候補を擁立しようという動きがあるからなんです」

 しかも、その中心にいるのは、あの菅義偉官房長官なのだという。

反小池の急先鋒

「菅さんは、前回の都知事選で小池さんに敗れた元岩手県知事の増田寛也氏を応援していた張本人。反小池は筋金入りで“都連の金庫番”と呼ばれる事務総長とも気脈を通じ、彼の定年を延長してまで、都議会自民党に反小池の空気を入れ続けてきた」(都連関係者)

 菅氏が見据えているのは、都知事選の先の都議会議員選挙だという。

「若手都議たちの間には、都知事選で小池さんを支持すれば、来年夏に予定される都議選をまともに戦えなくなるという懸念が根強い。3年前の都議選で都民ファに敗れた仲間たちにも合わせる顔がありませんし。今や安倍総理との溝が決定的となった菅さんとしては、総理と小池さんとの手打ちなど何のそのだった」

 そんな菅氏が対小池候補として白羽の矢を立てたのは、元テレビ朝日アナウンサーで、自民党都議2回生の川松真一朗氏(39)だ。

「彼は菅さんとツーカーで、都議会では反小池の急先鋒。若手都議の間でも待望論が高まり、本人も前向きだといいます」(政治部デスク)

 もっとも、知名度がモノを言う都知事選である。川松氏では勝負にならないとの声も上がるが、

「川松氏はかつて衆院選に出馬したこともあり、かねて国政進出を希望している。そこで菅さんは“都知事選に落選しても次の衆院選で骨を拾ってやる”と、都知事選敗北後の絵も描いてやった。国政に進出したい川松氏と、小池さんの軍門に降(くだ)りたくない菅さんとの利害は一致しているのです」

 当の川松氏に出馬の意思を尋ねてみると、

「都連の中に、独自候補を立てるべきだと僕を推す声があるのは知っています。ただ、現状、自薦も他薦も出馬の話はありません」

“女帝”と“策士”。暗闘は新たな局面に突入か。

週刊新潮 2020年6月11日号掲載

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