「二階」続投で角栄超えか「岸田」奪取か、政局の焦点は「自民党」幹事長人事

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人気低調の岸田氏の応援団とは

 全体399のうち、安倍首相の出身派閥である細田派、盟友の麻生財務相率いる麻生派、岸田派の主要3派で199人となり、全体のほぼ50%を占めている。そこが一枚岩である限り、安倍首相や麻生財務相はキングメーカー足り得るということになる。ただ、それが盤石ではないのもまた事実で、

「いわゆる『次の総理にふさわしいアンケート』で、常にトップを走るのが石破さん(茂元幹事長)で、岸田さんは全くと言っていいほど認知度が低い。総裁選は地方の代議員票と国会議員票との合計で雌雄が決しますが、前回、安倍さんと戦った石破さんは地方票で善戦しました。検察庁法改正案を安倍政権が諦めたのも、民意の反発の結果です。かねて長期政権である安倍さんへの反感は根強くあり、それが後継者としての岸田さんに向かうなら、地方票がかなり石破さんへ流れて、そのまま地滑り的勝利を収める可能性だってあるわけです」

 ここで、二階幹事長の上手な立ち回りに繋がっていく。

「簡単に言えば、二階さんは自身の幹事長ポスト確約と次期総裁選での安倍さんや安倍さんの息のかかった候補への支持とを天秤にかけているわけです。幹事長を続けられるなら、安倍さんへの献身を否定はしない。しかし、『岸田幹事長』が誕生するなら、主要な3派以外に号令をかけて連合を組むことも辞さず、という考え方なわけです。また、菅さん(義偉官房長官)は、岸田さんのことをまるで評価しておらず、そのあたりも『岸田幹事長』就任にはネガティブ要素ですね」

 他方、岸田氏の応援団がいないかと言うとそんなことはない。永田町関係者によると、
「ナベツネさんです。読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄さんは、岸田さんの父親・文武氏と旧制東京高校の同級生。代議士5回生だった文武氏が65歳で急逝した際に、ナベツネさんが友人代表として弔辞を読み、号泣したことは語り草です。加えて、ナベツネさんと岸田文雄氏は開成高の同窓生。3年前に開成OBで作る『永霞会』が発足し、会長には文雄氏が収まった。今年の設立総会で乾杯の音頭を取ったのは、安倍さんの最側近で当時の内閣情報官で現在の国家安全保障局長・北村滋氏で、“岸田総理誕生が開成OBの悲願です”と話していました」

「安倍さんは紙面でこれまでかなり援護射撃をしてもらっているので、読売というかナベツネさんにはかなり気を遣っていて、去年の9月に読売新聞グループ本社の白石さん(興二郎氏会長)をスイス大使に任命しています。忖度される側の安倍さんが読売に忖度したって言われていましたね」

 コロナにオリパラとあまりに大きな不確定要素は別として、幹事長続投であれば安倍4選の声も聞こえてくる可能性もあるし、幹事長交代となれば一気に永田町がザワつくことになる。ただ、仮に安倍首相が解散に打って出て勝利すれば岸田氏の首相への道は遠のく。禅譲を頼みとする者の哀しさを物語っているようだ。

週刊新潮WEB取材班

2020年6月12日掲載

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