日本で「集団免疫」はできている? 記者33名が「抗体検査」を受けてみたら…

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見えてきた東京の「免疫保有者数」 下水調査で分かる「無症状の感染多発地域」

 ようやく緊急事態宣言が解かれたと思ったら、ワイドショーは“第2波”の大合唱である。しかも、ウイルスがこれまでより強毒化する危険性すら指摘される。新たな感染拡大に備えるため、本誌(「週刊新潮」)編集部が抗体検査にトライしてみると――。

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 日頃から取材や情報収集に追われる週刊誌記者は、いわば、人と接触するのが仕事。また、深夜の飲食に運動不足も重なって、健康診断の度に表情が暗くなる“生活習慣病予備軍”も少なくない。しかも、100年前にパンデミックを引き起こしたスペイン風邪は、第2波の致死率が第1波の10倍だったとか。感染リスクの高い記者の中には、コロナの“第2波”到来に戦々恐々とする者もいる。

 というワケで、本誌編集部に在籍する33名が抗体検査を受けることに。

 抗体検査はコロナへの感染歴を調べるもので、多くの診療所やクリニックが導入している。過去に自覚症状がなくとも、抗体があれば免疫を獲得しており、第2波への防具を備えていることになる。なければ更に気を引き締める必要がある。

 厚労省も東京・大阪・宮城の3都府県で、計1万人規模の抗体検査をスタートさせたばかりだ。

 実際に検査を受けてみると、手順は思いのほか簡単だった。検温をした後、看護師が被検者の中指の腹に針を刺し、そこから血液を採取して検査シートに垂らす。結果が出るまで、わずか15分ほど。果たして、本誌スタッフ33名の場合はいかに。この1月に感染爆発寸前のイタリアを訪れたデスクや、2月に北海道取材が重なって高熱に見舞われた若手など、可能性を秘めた者は多いが――。

 結果は、全員が“陰性”であった。

陽性率は2~3%

 検査を依頼したクリニックの医師が話すには、

「今回の検査キットでは、感染後まもなく体内で作られるIgM抗体で最大59・4%、感染から2週間ほどかけて出現するIgG抗体は96・9%の確率で検知できます。これまで700人以上の方に抗体検査を実施してきましたが、平均すると陽性率は2~3%。海外出張や外食の多い方々を対象に検査した際は、10%近くに上ることもありました」

 コロナの場合、“集団免疫”を獲得して流行を終息させるには、人口の60~70%が感染する必要があるとされる。そこまでの道のりはあまりに遠い。これまでに都内で千件を超える抗体検査を手掛けてきた、ナビタスクリニック理事長で内科医の久住英二氏も、

「確かに、都内の感染者数は予想以上に少ないと実感しています。むしろ興味深いのは抗体保有率に地域差があること。私どもの検査では、都内の一般市民の約4%が抗体を持っていましたが、23区の南部は抗体保有率が高い一方、北部はとても低い。厚労省も抗体検査を進めていますが、都内はなぜか練馬区、板橋区、豊島区だけを対象にしている。これでは実態を正確に把握できません」

 地域ごとの感染状況を知るのであれば、むしろ下水調査が有効。下水に含まれるウイルスの濃度から流域の感染者数を推測する手法で、ノロウイルスの予防にも用いられてきた。

「下水調査で大規模かつ地域別に、感染の流行状況を把握する。その上で、反応が多く出た地域では積極的にPCR検査を進めていけばいいと思います」(同)

 きちんと備えて、正しく怖がることが肝要なのだ。

週刊新潮 2020年6月11日号掲載

特集「逆襲の『コロナ』」より