小池都知事を信じるべきなのか 元都知事「舛添要一」「猪瀬直樹」はこう見る

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行き当たりばったり

 都のロードマップを「行き止まりに連れていかれる」と、宮沢准教授は評したが、あながち間違いでもない。新型コロナの流行前、東京都には9345億円の財政調整基金、すなわち内部留保があったが、都に尋ねると現在の残高は、

「未定の補正予算案を踏まえると、493億円」

 休業協力金の大盤振る舞いで蒸発したのだ。元東京都知事で、大阪府と大阪市の特別顧問を務める作家の猪瀬直樹氏が言う。

「財政的にピンチでは、第2波、第3波がきても対応できません。店舗などに再度、休業要請することになっても、この状態では補償ができない。本来、財務局が引き締めるのに、“使っちゃえ”と言うトップに逆らえなかったのでしょうか。財政調整基金は都民みんなの貯金なので、都庁内でどのように意思決定され、費用対効果はきちんと考えたのか、説明すべきです。先を考えない小池さんが行き当たりばったりで決めたなら、役人の士気が下がっている可能性があります」

 事実、行き止まりだが、その前に知事選を越えられればよいわけか。23区で4月の生活保護申請が前年比4割増えてもわれ関せずで、

「現場を見ていないから、本当に困った人に手を差し伸べることができていないのだと思う」(舛添氏)

 風は読めても、海中は覗けない所以である。国際政治学者の三浦瑠麗さんは、

「いまなにが民意に刺さるかを基準にする小池さんは、スローガンを言えば、実現したも同然だと考えるのでしょう。しかし、都民の経済活動を最大限抑制し、時間的猶予を与えた以上、知事が責任を負うべきは、医療体制の拡充を通じて経済活動をする環境を作ること。政治家なら、新たなデータや知見を踏まえ、悲観的なものから楽観的なものまで、感染症と経済をバランスさせる複数のシナリオを作るべきです。ところが、小池さんはスローガンばかりで、実質的な見積もりを作った形跡が見られないのです」

 と意見するが、それは風を読む作業とは異なる。小池知事に求めるのは、少々酷かもしれない。

週刊新潮 2020年6月11日号掲載

特集「逆襲の『コロナ』」より

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