コロナ給付金が二重払い、返却の行方は… 福島県天栄村

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 鉄道の駅がないうえに高速道路のICもない。名物といえば酒饅頭という福島県の天栄(てんえい)村は、人口約5200人の小さな村だ。村役場が特別定額給付金の支払いを始めたのは5月12日からである。県内でも給付が早かったのは、旅館やペンションが多く、閑古鳥が鳴いていたこともある。

 ところが、急いては事を仕損ずると諺にあるように「二重給付」をやらかしてしまった。

 村役場の総務課によると、

「給付金は申請があった順に振込先のデータを作り、金融機関に引き渡してゆくのですが、5月18日分の振込先データを、2日続けて渡してしまったのです」

 金額にして1億1620万円、1162人分というから人口の5分の1強に二重払いしたことになる。

「すぐに金融機関からエラーのメッセージが出たと連絡があり、住民の方から問い合わせも来ました。住民の方には事情を説明して、振り込んだお金をそのまま役場の口座に戻してもらっています」(同)

 が、これで一件落着というわけではない。二重払いされたお金のうち、数百万円がまだ戻っていないのだ。そのまま引き出されてしまったケースもある。

「そうした方には役場までお金を持ってきてもらうか、家を訪問して返してもらうようお願いをすることになります」(同)

 村の観光協会の幹部でもあるペンションのオーナーが言うのだ。

「うちにも二重振り込みがあったけど、連絡があって通帳を見たらお金は戻されていました。小さな村だから、もらったまま返さないなんて人はいないと思いますよ」

 もし、ゴネたら村八分なんてことになったりして。

週刊新潮 2020年6月4日号掲載

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