「吉村首相」待望論、支持率急落でも驚くほど枯れていない「安倍首相」の解散戦略

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オリパラ、総裁選後の可能性が

 報道各社の調査で、軒並み下がり続ける内閣支持率。その一方で、政府与党をなかなか追い込めない野党陣営。その漁夫の利と吉村洋文大阪府知事の「メディア受け」の良さだけで維新が政党支持率を伸ばす……。こんなはずじゃなかったというのが安倍晋三首相の偽らざる心境かと思われるが、驚くほど気持ちは枯れていないのだという。今後の解散シナリオについて追ってみた。

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 衆院議員の任期は4年だが、現憲法下での平均在職期間は2年9カ月。この6月で、それは既に2年8カ月(任期満了は2021年10月)となり、解散総選挙はいつあってもおかしくないという“常在戦場”状態にあるといってよいだろう。もっとも、永田町の誰もが、安倍首相はすぐに伝家の宝刀を抜くことができるとは思っていないのも事実だろう。

 コロナ禍がなければオリパラがあり、成功の余勢をかって安倍首相が解散を打つというシナリオはないわけではなかった。それに勝利した場合には、差し当たって連続3期目で、2021年9月末に満了を迎える自民党総裁任期はなし崩しとなって、かつてない「総裁4選」も視野に入ることになる。気の早い二階俊博幹事長などはこれに支持を表明するなど、「ポスト安倍」を論じつつも、安倍首相が主役であることに変わりはない時期が長らく続いていた。

 そのシナリオが狂ったのはコロナ禍であり、オリパラの延期である。永田町関係者によると、
「安倍さんがオリパラを1年だけの延期にしたのは、それを自分の手で何としても成し遂げたいという気持ちからです。2年だとその間に自民党総裁選と総選挙を挟まざるを得ず、求心力を保ち続けるのは不可能。1年が限界だったわけです」

 現在の解散戦略については、
「この支持率ではすぐに解散ってムリ。ただ、今井さん(尚哉首相補佐官)を筆頭とする最側近はどこかで、“世間は忘れやすい人たちだ”と考えているフシがある。6月17日までの通常国会を乗り切った後、今年の残りあと半分を経済の浮揚に傾ければ、失われた信頼も回復できると踏んでいます。ま、これまでの7年半、幾度となく繰り返された光景ですがね」

 ワクチン開発に光明が見え、内閣支持率が回復し……という前提で進むと、可能性がある日程は3つに絞られていくのだという。

「来年の通常国会冒頭、予算通過後の3月、オリパラ後、ですね。可能性があると言っておきながら恐縮ですが、まず『予算通過後』というのはなさそう。来年は都議選が予定されており、その告示が6月にはありますから、そこに解散総選挙まであっては組織力がもたないと連立を組む公明党が却下するでしょう。また通常国会冒頭についても、これからオリパラだ!って時になんで選挙なの? みたいな空気が出てきて政権の足元がすくわれかねない」

 別の永田町関係者も、
「そうですね、永田町も霞が関も安倍政権の7年半で報われなかった人の方が圧倒的に多いですから、長すぎるよ、もう飽きたよっていう声はしょっちゅうです。だから、予算通過後にしろ国会冒頭にしろ安倍さんが選挙を打つわけで、となると、“安倍さんが4選してまた続けるの”ってことになる。もちろん代わりに投票する政党があればの話ですが、そういうネガティブな雰囲気で選挙は戦いたくないでしょう」

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