デジタル捜査班長が伝授、ストーカー・誘拐から身を守る術 スマホを落としただけで…

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エアドロップ痴漢

 今後、スマホ犯罪がますます増えるのは必至。

 中でも、スマホのひったくりは増加するでしょう。中国などではかなり多いのですが、電車に乗り、スマホを操作している人を覗き見して、ロック番号を把握する。駅に停車し、ドアが閉まる発車直前にスマホを奪い飛び降りる。中国ではキャッシュレス決済がほとんどですから、スマホを奪えば大変な財産になります。

 愉快犯では、「AirDrop(エアドロップ)痴漢」というのも流行っています。「AirDrop」とは、連絡先を知らなくても、近くにいるiPhone使用者ならデータを送受信できる機能です。電車の中などでこれを使って卑猥な写真を周辺にいる人に一斉に送る。そして、女性の反応などを愉しむというものです。

 そうした時代が来ているからこそ、自らの身と同様に、子どもの身を守るためにもスマホのリテラシーは必須です。子どもにスマホを使うなと言っても無理ですし、さまざまな制限をかけたところで、それを破る術はそれこそスマホで簡単に見つかります。だからこそ、スマホを適切に使わせた上で、危険性も十分に認識させることが重要なのです。

 そしてスマホの時代だからこそ、逆にアナログの力を磨くこと。デジタルの世界に過度に依存せず、「直観力」、すなわち、知識と経験に基づいて物事を論理的に読み解く力を研ぎ澄ます。

 スマホの「正しい怖がり方」が今、求められています。

佐々木成三 (ささきなるみ) 元埼玉県警刑事
1976年、岩手県生まれ。埼玉県警で10年間捜査1課に所属し、「デジタル捜査班」班長も務めた。2017年に退職。子どもたちの犯罪リスク低減を目的とする「一般社団法人スクールポリス」の理事として学校や企業で講演を行う一方、コメンテーターとして多くのTV番組に出演する。

週刊新潮 2020年5月21日号掲載

特集「『スマホを落としただけ』でこんなに危ない!『デジタル捜査班長』が伝授 『ストーカー』『誘拐』から身を守る術」より

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