吉村知事の名前はタブー、支持率急降下「安倍官邸」7年半で最大ピンチの元凶

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「安倍・菅」間の距離の原因とは

 歴史にifはないけれど、本来なら、オリパラに向けて国民が何となくソワソワし始めて、気持ちの高ぶりを抑えきれない、そんな季節になるはずだった。しかし現実は厳しく、コロナ禍でのチョンボが続き、支持率はダダ下がり。政権始まって以来のピンチを迎えた安倍晋三首相。官邸内の誰が何をどう間違えたのか。

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 毎日新聞の5月23日の調査によると、支持率は前回から13ポイント急落して27%。朝日新聞の23、24両日の調査は29%で、第2次安倍政権発足以来最低を記録している。

「民主党から政権を奪取した2012年12月から7年半経過しましたが、その中で一番のピンチと言ってもいいと思います」

 この間ずっと安倍官邸を見続けてきた永田町関係者の話だ。

「安倍さん以下、今井さん(尚哉首相補佐官)ら側近は頭を抱えています。まだ届かないアベノマスクにまつわるゴタゴタ、公明党からの強い圧力で10万円の一律給付への電撃シフト、星野源動画との勝手にコラボでの見事なスベり方、そして検察庁法改正案から黒川検事長の賭けマージャン問題まで、よくもこんなにミスができるなってくらい続いている。だから、支持率低下は仕方ない面がある。これに乗じて維新の支持率は上がってますけど、吉村さん(洋文大阪府知事)の名前は聞きたくないって感じでしょう」

 官邸内の余裕のなさを象徴するような話だが、もっとも、

「WHOにホメてもらうくらい、新型コロナウイルスの封じ込めには現時点で相当成功しています。現実には成果をあげているわけですから、もう少し政権に対する評価があってもいいとは思うんですが、先に触れた失政のダメージがあまりに重く、世間の目は極めて厳しいですよね」

 その理由は様々あるだろうが、コロナ禍での政策提案は主として今井補佐官が行うことが多く、おのずと失政を重ねていることになる。

「たとえば現金給付については、所得制限したりすると手続きに時間がかかりますからね。スピード勝負という意味でも『一律』は悪くなかった。ただ、そこに口を挟んだのが今井さん。リーマン・ショックで麻生さんの時に出した定額給付金を持ち出して“意味ないですよ。貯蓄に回りますよ”と。で、安倍さんも一律は見送ろうとしたら今度は公明党が噛みついてきてひっくり返されたという流れです。結果論かもしれないけど、リーマンの時に1万2000円給付したことと今回とは同じ土俵では考えられないでしょう」

 読売新聞は、5月26日付の朝刊に、〈[政治の現場]危機管理(1)首相の決断 菅氏不在〉という記事を掲載している。要するに、安倍首相と菅義偉官房長官との間に距離ができつつあるという指摘だ。

《安倍と菅の二人三脚から、安倍の独壇場へ。こうした官邸内力学の変化は、「ポスト安倍」をめぐる安倍と菅の温度差がもたらしたと見る向きもある。安倍は来年9月末の自民党総裁任期切れをにらみ、盟友である副総理兼財務相の麻生太郎とともに、自民党政調会長の岸田文雄に期待を寄せる》

《一方の菅が、政治家としての岸田を見る目は厳しい。安倍が麻生、岸田との間だけで減収世帯への30万円給付という目玉政策を構想し、菅を絡ませなかったのも、そうした背景からだとする見方もある》

《安倍が2月下旬に学校の一斉休校を打ち出した際も、菅は蚊帳の外だった》

「“安倍さんと菅さんに溝がある”と書かせて、誰が得するのかを見ていくと、やはり今井さんなのかなという感じがしますね。いや、今井さんしかいない(笑)。菅さんじゃなくて今井さんあってのこの内閣だというアピールができることになりますからね。この記事にあるように、一斉休校について菅さんは知っていたけれど、“あの日にやる”ことは聞かされていなかったようです」

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