コロナ禍で存在感「吉村知事」恐妻家の履歴書 たかじんに見出され政界へ

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 頼りない安倍政権の面々を尻目に、さる5日に独自の「大阪モデル」を打ち出した吉村洋文・大阪府知事。その直後には西村康稔・経済再生相との“舌戦”でも株を上げ、いまや世論調査でも群を抜く人気だという。そんな「有事の男」の、意外な一面とは……。

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 吉村知事の大阪モデルとは「経路不明の新規感染者が10人未満」「陽性率が7%未満」「重症病床の使用率60%未満」の三つの指標で、数値を1週間連続でクリアすれば休業や自粛の要請を解除するという基準である。ところが、

「知事が“国が出口戦略を示さないから”と独自モデルを発表したことを、解除は知事の権限だとして西村経済再生相が“何か勘違いしているのでは”と非難しました。これに知事はツイッターで陳謝して収まったのですが、かえって無為無策な国と、リーダーシップに富む知事とのコントラストが際立ってしまいました」(全国紙デスク)

 そうした中、6日に毎日新聞などが実施した全国世論調査では「最も評価している政治家」として吉村知事を挙げた人がトップの188人。ついで東京都の小池知事が59人、安倍首相は34人で3位だった。

「この調査では『新型コロナ問題で安倍政権の対応を評価するか』の質問で“する”の22%を“しない”の48%が大きく上回るなど、総理と政権への不信感が浮き彫りになりました。それだけでなく、小池知事の3倍もの支持を集めていることから、いかに吉村知事の手腕が喝采を博しているかがわかります」(同)

“僕が一番下”

 これまで東京ではなじみの薄かった吉村知事は、弁護士でもある。大阪府下に生まれ、府立高校から九州大法学部へ進学。卒業後の1998年秋、司法試験に合格した。最初に勤務した「熊谷綜合法律事務所」の熊谷信太郎弁護士によれば、

「企業法務に携わりたいというのが志望動機で、私と同じくラグビーをやっていたこともあり、採用しました。実際にうちでは民事の専門的事件、武富士の名誉毀損裁判や日本育英会(現・日本学生支援機構)の不良債権化した奨学金の回収などを手掛けていました。滑舌がよく声も通るので、依頼者の信頼を得られ、法廷での証人尋問も明瞭で聴きやすかったですね」

 当時から“仕事の虫”で、

「毎日23時頃まで働いて、土日も出ていました。酒もほとんど飲まず、目の前の仕事に最後まで食らいついていくタイプ。奥様は司法修習生時代に合コンで知り合ったキャビンアテンダントで、ハワイで身内だけで式を挙げたと聞きました。うちには5年ほど在籍し“独立して大阪で友人と事務所をつくりたい”という希望があったので、私も快く送り出しました」

 故郷では弁護士業ののち、2011年に大阪維新の会公認で大阪市議選に出馬し、当選。

「亡くなったやしきたかじんさんの事務所の顧問弁護士を務めていて、たかじんさんから“大阪のために頑張れ”と政界入りを勧められました。たかじんさんは、“ええ青年やからぜひ政治家に”と、吉村さんを橋下(徹)さんに引き合わせたのです」(日本維新の会関係者)

 とのことで、

「奥さんは北海道出身で、清楚な感じの方。中3の双子の女の子と小6の男の子がいて、下の子はフィギュアスケートを習っています。吉村さんは、家庭ではもっぱら奥さんの尻に敷かれていて、用事を頼んだ時など、奥さんの前ですまなそうにうつむく姿が目撃されています」(同)

 それは例えば15年秋、大阪市長選に出馬した際にニコニコ生放送で、

〈家庭のヒエラルキーでは僕が一番下〉

 と明かしたり、市長就任後の16年6月に受賞した「ベスト・プラウド・ファーザー賞in関西」のプロフィールの中で、

〈子育てや家事を任せており、申し訳ない〉

 などと妻に宛てて記したり、あるいは地元の情報サイトのインタビューで、

〈(自宅に)妻と義母がいるので、完全に女性が勝っていますが、なかでも嫁さんが一番強い!〉(17年3月)

 などと答えていたことからも窺えるのだ。

「コロナ禍で経済活動が自粛を余儀なくされている点を『命と経済ではなく命と命の比較』『失業や倒産で落とされる命は報道されない』などと、弁舌巧みに訴えるのも強み。政権は、完全に“主役”を奪われてしまった格好です」(前出デスク)

 家庭では風下でも“出口”は一番乗りのようである。

週刊新潮 2020年5月21日号掲載

特集「『コロナ』見えすぎる敵」より

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