「日本のコロナ対策は奇妙に成功」と米外交誌、日本のメディアもようやく気づき始めて……

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記事は安倍政権に嫌味

 共同通信(電子版)は5月15日、「日本のコロナ対策『奇妙な成功』 低い死亡率、米外交誌が論評」との記事を配信した。冒頭部分を引用させていただく。

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《米外交誌フォーリン・ポリシー(電子版)は14日、東京発の論評記事で、日本の新型コロナウイルス感染対策はことごとく見当違いに見えるが、結果的には世界で最も死亡率を低く抑えた国の一つであり「(対応は)奇妙にもうまくいっているようだ」と伝えた》

 次の段落で終わりという短い記事なので、記事の骨子しか触れられていない。「もっと読みたい」という向きは多いだろう。

 そこで調べてみると、ニューズウィーク日本版の公式サイトに同日付で、日本語訳の記事が掲載されていた。

 タイトルは「日本の『生ぬるい』新型コロナ対応がうまくいっている不思議」だ。この記事から、要点をご紹介しよう。

▼日本の新型コロナウイルス対策は、何から何まで間違っているように思える。ウイルス検査を受けた人は人口の0・185%、ソーシャル・ディスタンシングも中途半端。国民の過半数が、政府の対応に批判的だ。

▼だが日本は、感染死亡率が世界で最も低い部類だ。直接死者数は5月14日現在で687人。100万人あたりの死者数は、日本が5人、アメリカは258人、スペインは584人。防疫政策が評価されたドイツでさえ94人だ。これは日本がラッキーなだけなのか、政策の成果なのか、見極めるのは難しい。

▼日本のPCR検査実施数は国際水準を大きく下回る。5月14日までに実施された検査数は約23万件、アメリカの2・2%だ。外国人女性が検査を行えるまで日本の病院をたらい回しにされた体験談が外国メディアによって報じられると、国際社会は震え上がった。

▼外出制限も緩い。緊急事態宣言が発令されても、日本政府は自宅待機を強制したり、企業や店舗に閉鎖命令を発令したりすることはできない。第2次大戦後に(アメリカが草案を作成して)制定された憲法で、国家権力が制限されているからだ。

▼日本は自らを法治国家、そして公衆衛生の意識が高い社会と見ている。だが国民全員が真面目に感染予防策を実行したわけでもない。大きな懸念材料となったのはパチンコ店だ。数少ない営業店舗に入ろうとする客が長い行列を作った。

▼しかし全体としては、相手を気遣い、人との距離を取り、握手を避け、清潔を心掛ける日本の文化は、感染者数を抑える上で大きな役割を果たしたようだ。

▼医療従事者や感染患者に対する差別的な言動という、日本文化のよくない側面も表面化している。そもそも日本がなぜ諸外国のような感染危機にいたらなかったのかという大きな疑問もまだ残っている。

 日本の現状を評価しているような、していないような、まさに“奥歯に物が挟まった”ような記事――。

 そんな読後感を持つ向きも少なくないだろう。だが、やはり根本は、安倍政権に対するイヤミで貫かれていると読むべきのようだ。

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