只今コロナ休業中。月収18万円ネットカフェ難民の「微妙な」半生

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ゴロゴロしていると腰が痛くなる

――内部はどういう環境なんです?

アサオ: 武道場のなかに、布で個人スペースが作ってあって、そのなかに簡易ベッドがある。簡易ベッドでは足を伸ばせるから居心地いいよね。

――安いネットカフェですと、リクライニングソファで寝なくてはいけないときもありますもんね。足が伸ばせるのは貴重です。

アサオ: ただ、長時間ゴロゴロしていると腰が痛くなる。柔らかめよりも固めのベッドのほうがいいと職員の方に言ったら、ダンボールを乗せて調整してもらえた。枕がないのもしんどいかな。とはいえ、新聞がタダで読めるのはいい。朝日新聞の販売店が差し入れてくれているみたいだ。全体的には「80%満足」という感じかな。

――現時点(=4月27日)で神奈川県立武道館に住んでいるネットカフェ難民は何人くらいなんですか?

アサオ: 60人くらいかな。関東圏のあちこちから新しく人が来るけれど、施設内に生活支援相談窓口があるから。こっちで(県営住宅への転居や生活保護の受給などの話が決まって)減る人もいるから、合計の人数は増えもせず減りもせずだよ。

人生、運だけで生きてきたような

――ところで、そろそろアサオさんがネットカフェに住みはじめるまでの経緯を教えて下さい。理容師だったと聞いていますが、どんな人生だったんですか?

アサオ: 俺の人生、運だけで生きてきたようなもんだよ。出身は長野なんだけど、高校を卒業したところで父親の知り合いのツテで、千葉県の床屋で働きはじめた。理容師資格は通信教育とインターン1年で取れた。

 床屋はバブルの少し後まで、17年間くらいはやってたね。平成3年に27歳で所帯を持って、その年のうちに息子が生まれた。近くのニュータウンにテナントが建ってさ、そこに床屋の支店を出すってんで、支店長になったんだよ。景気のいい時代だから羽振りが良かったね。カードをバンバン作って、使ってさ。収入も、店長手当を含めて月収38万くらいはあった。

――手に職があって家族がいて収入もあったのに、なぜ。

アサオ: 隣のテナントの美容室のネエちゃんと不倫しちゃったんだよ。それで離婚して、車1台だけで家を飛び出したんだ。それから元女房と子どもには会ってないし連絡もしていない。慰謝料も養育費も払わないかわりに、今後は一切関わらないという条件だったから。

 当時、子どもは上が3歳の男の子で、下が生まれたばかりの女の子だった。上の子は平成3年10月●日生まれだが、下の子は生まれた年も誕生日も覚えてない。離婚のゴタゴタで、それまで勤務していた床屋も離れることになった。

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