「城島健司」「里崎智也」「立浪和義」…監督として大成しそうな有力OBは誰だ!

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 新型コロナウイルスの影響で、なかなか開幕ができないプロ野球。今シーズンから指揮を執る新監督は、佐々岡真司(広島)や高津臣吾(ヤクルト)、三木肇(楽天)の三人で、彼らの早く采配が見たいというファンの声が高まっている。例年に比べると、新監督は少なめの印象ではあるが、巨人では昨年引退した阿部慎之助が二軍監督に就任して、早くも次の監督候補と言われている。最近では井口資仁(ロッテ)や高橋由伸(前巨人監督)のように、引退してすぐに監督になるケースも少なくない。そこで今回は、近い将来監督として大成しそうな有力OBについて探ってみたいと思う。

 これまでの傾向から考えて、チームが強かった時の“正捕手”が監督になる可能性は非常に高い。先述した監督候補の阿部も黄金期を築いたチームの正捕手であり、現役の監督では矢野燿大(阪神)がそれに該当する。それを考えると、候補になりそうなのが城島健司(元ソフトバンク)と里崎智也(元ロッテ)になるだろう。

 城島は晩年こそ阪神でプレーしたが、やはり、ソフトバンクのカラーが強い。引退後は趣味である釣りをメインに活動するなど、球界とは距離を置いていたが、今年からはソフトバンクの球団会長付特別アドバイザーに就任している。どこか浮世離れしたイメージがあり、現場での指導に対する意欲がどこまであるかはいまだに見えてこないが、日本人選手で唯一メジャーリーグの正捕手を務めた経験は大きい。侍ジャパンの監督を務めた小久保裕紀や、実績は抜群で前監督である秋山幸二などの候補は多いが、やはり捕手の視点からの采配を見てみたいという声は根強い。

 一方、里崎は現役時代に二度の日本一に貢献した経験を持つ“勝ちを知る”キャッチャーだ。2006年に行われた第1回WBCでも正捕手として活躍して、ベストナインに輝くなど国際舞台の経験も豊富だ。引退後はあらゆる媒体で解説者として活動。昨年には自身のYouTubeチャンネルも開設し、球界の動きに対して発信を続けている。その歯に衣着せぬ発言に対して、支持するファンも多い。解説も非常に論理的で、また現在の野球界に対しても高くアンテナを張っていることがよくわかる。ロッテは楽しみな若手が多く、上り調子なだけに、その若手をどう育てて起用するのか、見てみたいという声も多いだろう。

 チームを代表する選手だったという意味で、最も象徴的な存在と言えるのは立浪和義(元中日)だろう。PL学園からドラフト1位で中日に入団すると、球団記録となる2480安打、プロ野球最多記録となる487二塁打をマークするなど活躍し、「ミスタードラゴンズ」と呼ばれた。引退後は侍ジャパンの打撃コーチを務めたことはあるものの、いまだに古巣のユニフォームには袖を通していない。これまでも何度か監督候補に名前は挙がっているが、現役時代から野球以外に関する報道も多いことが災いしてか、実現には至っていない。ただ、名門PL学園の歴代の選手の中でも、その野球センスは飛びぬけたものがあり、バッティングに関する理論についても卓越している。そして何よりもミスタードラゴンズのユニフォーム姿を見たいというファンの声は根強く多い。長くBクラスに低迷するチーム再建の切り札として、監督就任のチャンスがあってもおかしくないだろう。

 佐々岡新監督が就任したばかりの広島だが、有力OBという意味ではチームを25年ぶりのリーグ優勝に導いた黒田博樹と新井貴浩の名前が挙がる。黒田は生活の拠点がアメリカというハードルはあるものの、そのカリスマ性は突出しており、もし監督就任となればメジャーから復帰した時と同様の盛り上がりを見せることは間違いない。

 新井は黒田とは正反対のキャラクターではあるが、チームの雰囲気を変えられる存在という意味では黒田に匹敵する影響力がある。昨年4年ぶりのBクラスに沈んだが、もしこのまま低迷が続くようなことになれば、二人の監督待望論が起こるのは必然と言えるだろう。

 最後に巨人。前述したように次期監督としては阿部が最有力だが、待望論が根強いのはやはり松井秀喜だ。12年に現役を引退後は主にヤンキースのGM特別アドバイザーとして活動しているが、巨人の春季キャンプには臨時コーチも務めている。ON、原と続いた巨人の主砲という意味では高橋由伸や阿部より遥かに格上であることは間違いない。以前は、外野手は監督に適さないという説もあったが、近年では秋山幸二(ソフトバンク)、緒方孝市(広島)、真中満(ヤクルト)など外野手出身の監督も結果を残している。そういう意味でも松井の監督姿を見てみたいと願うファンは多いはずだ。

 名選手が必ずしも名監督になるとは限らないというのは定説だが、やはりチームを率いる監督にも華を求めたいというのもファンの性(さが)である。ここで名前を挙げたOB達が、一人でも監督としてユニフォーム姿を見せてくれることを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年5日14月掲載

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