ポストコロナでもサバイバル もつ焼き居酒屋「串屋横丁」の驚くべき経営

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 飲食店の経営を安定させるために最も大切なことは「損益分岐点を極力下げること」「店長・社員のモチベーションを高めること」「店に根強いファンが存在すること」だ。

 これらを実現しているのが「串屋横丁」という現在50店舗のもつ焼き居酒屋のチェーンだ。千葉県茂原市に本社を置くドリーマーズ(株)(代表/中村正利)が展開している。

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 飲食業の全般は今新型コロナウイルスによって大変な損害を被っているが、ドリーマーズでは冒頭に述べた3つのポイントを仕組みとしてつくり上げて、リスクの少ない経営をしている。

「串屋横丁」は「頑固おやじが営む個人店」のような店で2等立地、3等立地にありながら平時はいつも繁盛風景が見られている。看板商品の「スーパーホルモンロール」はピンポン玉ぐらいの大きさのホルモンボールが串に4個通され1本100gの量で130円(税別)。他の商品もフレッシュで価格が安く、同業他店と比較してもお値打ち感は圧倒的だ。客単価は2200~2300円前後となっている。

「串屋横丁」50店舗のうち直営は18店舗、このほかは加盟店だがみな、同社で社員を経験したことのある卒業生が経営している。各店舗の繁盛ぶりを見ると商売を営む人は誰しも加盟店になりたいと思うであろう。「串屋横丁」の中で一番売っている店は東京・門前仲町の店で38坪・100席で月商1200万~1300万円。これだけ売ると利益は430万~440万円にのぼる。

 筆者は5年ほど前に中国地方の地方都市で居酒屋を営む経営者を同店に案内したところ、興奮ぎみに「是非加盟店になりたい」と言っていた。しかしながら「串屋横丁」の展開姿勢は一貫していて、エリアは千葉県茂原市の工場から食材を配送できる範囲であること、そして、オーナーは直営店の卒業生に限定している。こうして店を運営するマインドとクオリティは高度に保たれている。そういうわけでこの経営者はフランチャイズ加盟を丁重に断られたという。

 ドリーマーズ代表の中村正利氏は1968年9月生まれ。ドリーマーズを創業し「串屋横丁」を軌道に乗せるまでの人生は多岐にわたっている。有名なイタリアンレストランでの修業から社会人生活がスタートし、外食産業の工場勤務、建築業等々、ドリーマーズを立ち上げる前はIT企業を営んでいたが2001年に事実上の倒産状態となり多額の借金を抱える。2003年に起死回生の事業となる「串屋横丁」を立ち上げ、4年間で4000万円の借金を完済し、以来「串屋横丁」独自の仕組みをつくり上げた。

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