悪くないよリモート出演「下半身パジャマ」「壁写真」垣間見える芸能人の素の姿

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 ほとんど外出していない。ゴミ捨て、郵便局とコンビニへ行く程度。ただ、毎日誰かとしゃべるようになった。夫とはSkype、友人とはLINEやZoom。父が入っている老人ホームもLINEで父とビデオ通話できるようにしてくれた。子供の頃に夢見ていたテレビ電話が日常になりつつある。改めてすごいなぁと思う。

 で、テレビ。緊急事態宣言以降、ワイドショーや情報番組のリモート出演が増えた。何のツールを使っているのかわからないが、充分成り立つ。成り立つんだが、多少のタイムラグや画質の悪さは否めない。でも、そこに目くじら立てる人はあまりいないはず。リモートでも充分、スタジオの人数はこれくらいでちょうどいいという意見も。ある種「断捨離」になった気もする。

 メインMCをいち早くリモートにしたのはフジ「とくダネ!」だ。重症化リスクの高い小倉智昭は自宅からの出演に。背景は本棚。人んちの本棚を見るのが好きなので興味津々。目に入ったタイトルを並べてみると、『国家の危機』『日本の瀬戸際』『死の淵を見た男』……。つい意味深にとらえてしまう小倉セレクト。最近はモニターの位置を工夫し、さも小倉がスタジオに並んでいるような配置に。一瞬ダマされちゃった。

 一方、NHKの「あさイチ」も、メインMCの博多華丸・大吉が早々にリモート出演に。技術力高そうなNHKなのに、音声にタイムラグがあるようで、いつもの朝ドラ受けがワンテンポずれる。それよりタイル張りのモニターが気になる。まるで風呂場の窓から華丸・大吉。華丸の後ろに消火栓があったが、位置を変えたようでひと安心。動くと赤色のアレが見えてたし。つうか、そこはどこなの?

 テレ朝の「羽鳥慎一モーニングショー」では、レギュラーの玉川徹が自宅からのリモート出演に。ビシッとスーツを着ているけれど、「下はパジャマ」という。羽鳥慎一に要求され、うっかりその間抜けなハーモニーをお披露目するハメに。しかもゲストの岡田晴恵教授にツッコまれるというオチ。最高じゃん。そういうの、好き。それよりも、同じリモート出演の石原良純がめちゃデカいヘッドホンだったけど、誰かイマドキの小さいのを貸してあげなよ。なんか彼だけ昭和の緊急指令室にいる人みたいで。顔が元々緊迫系だしね。

 さて。自宅リモート出演で最もザワつかせたのは、やはり「大下容子ワイド!スクランブル」の杉村太蔵だろう。テッカテカに黒光りする、いかにも高級そうなマホガニー色の革の椅子に座っている。後ろの壁には大きな写真が3枚飾ってある。もうイヤな予感しかしない。大下アナに念を送る。「そこには触れずにスルーして!」。しかし、残念ながら触れずにはいられないのがテレビの宿命。案の定、映し出すとオール太蔵。フォアハンドの太蔵、壁にもたれてすました太蔵、バックハンドの太蔵……見せなくてもわかってたのに。

 今後も、リモート出演は凝視。見えないモノが見えてくるから楽しいのよね。

吉田潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビ番組はほぼすべて視聴している。

週刊新潮 2020年4月30日号掲載

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