新型コロナでも放送延期なしの「スーツ2」 法廷シーンがないドラマの見どころは?

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法廷シーンのないリーガルドラマ

 また、女優陣では甲斐の秘書・玉井伽耶子を演じる中村アン(32)と事務所のチーフパラリーガル・聖澤真琴を演じる新木優子(26)を忘れてはならない。

 前者は、頭脳明晰で周囲の動きを常に観察、甲斐の注文には即座に応えるという、まさに“デキる秘書”を、後者は、仕事ぶりは事務所の中でもトップクラスを誇るほど優秀なのだが、学歴コンプレックスに悩み、高学歴の弁護士には負けず嫌いの一面を持つキャリアウーマンを好演している。

 さらに脇役では、なんといっても小手伸也(46)演じる蟹江貢だろう。蟹江は甲斐のことをライバル視しているものの、その甲斐は“カニ”と呼び、小馬鹿にしていて完全に眼中にはない存在なのだが、弁護士としての蟹江は間違いなく有能である。

 ひねくれていて、部下にはキツく当たったりすることも多々あるが、実はお人好しな一面もあり、憎めないヤツでもある。まさに圧倒的な存在感を本作で発揮しているのだ。

 シーズン1ではそんな蟹江と甲斐は、時に対立したり、時に協力し合ったりして、訴訟と相対していた。つまり、この二人が巡らせる策謀や駆け引き、そして丁々発止のやり取りも見どころの一つのなのである。

 そして、これがこのドラマ最大の特徴になるのだが、前述した甲斐と蟹江のやり取りに象徴されるように、本作では法廷シーンがほとんど登場しない。

 これは一見すると、リーガルドラマでは致命的とも思えるのだが、その裏にはシーズン1の甲斐のセリフに出てきた「法廷だけが戦いの場ではない」という弁護士のある種のポリシーを描くことにこだわった結果であるともいえるのだ。

 ここにもう一つ付け加えると、こんな事実もある。実は織田裕二は、95年の10〜12月クールで『正義は勝つ』(フジテレビ系・水曜21時〜)という弁護士ドラマに主演し、新進気鋭の若手弁護士・高岡淳平役を演じているのである。

 この時の高岡は、法廷で連戦連勝しまくる花形弁護士だった。

 つまり、この『正義は勝つ』を知っているファンからすれば、「以前も敏腕の弁護士役をやってるじゃん!」というツッコミを入れることができるのだが、『SUITS/スーツ』には法廷シーンがないことで差別化が図れるワケだ。

 要は弁護士ドラマの違う見せ方、新たなリーガルドラマの形を提案したのが、この『SUITS/スーツ』なのである。

 最後にシーズン2第1話を観ての感想に触れておきたい。

 今回から“幸村・上杉法律事務所”の所長だったが幸村と甲斐に追放され、休職していた上杉一志[吉田鋼太郎(61)]が復帰した。

 かつての追放時の経緯からこの二人を恨んでいると思われ、その逆襲の機会を伺っている(当然、事務所の人間の中には上杉側に寝返る人物も出てくるに違いない)。

 そんな幸村と甲斐の“弱み”となるのが、甲斐のパートナーでニセ弁護士の大輔なのだ。ストーリーが進展しいくなかで、いつこの大輔の正体がバレてしまうのか? そしてそれはどんな状況で、なのか?

 ドラマは基本、1話完結となっていて、甲斐を筆頭に、毎回毎回、繰り広げられる複雑な駆け引きが“見せ場”となっているが、この上杉の話は、ドラマの縦軸となってラストまで突き進んでいく。

 徐々に描かれていくだろう上杉の復讐物語をどう展開させていくかに期待したい。

上杉純也

週刊新潮WEB取材班編集

2020年4月19日掲載

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