コロナ禍で加速するテレワーク 待ち構える“雇用大量破壊”

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温情が通じない

 博報堂を退社後、19年間にわたりテレワークを続けてきた、ウェブニュース編集者の中川淳一郎氏は語る。

「オフィス勤務では、部下に“悪いけど、Excelで資料を作っといてよ”と頼むこともできました。ただ、このご時世、資料を作らせるために部下を自宅まで呼びつけたら大問題になりますよ。いまの立場で仕事を続けるには最低限のIT知識を身につける必要があります。また、テレワークの難しさは温情が通じなくなる点です。会社勤務だと、夜中まで仕事をしている社員を見て上司が、“アイツは頑張ってるから”と査定を上げることもあった。しかし、テレワークは成果が全てなので、単に“仕事が遅い”という評価が下されてしまうのです」

 社内のムードメーカーは“場当たり的な発言ばかりで建設的な議論ができない”人物、堅実な管理職も“独自の意見がない”人物と見なされかねない。テレワークは成果に繋がらない存在を厳格に炙り出す。

「在宅勤務が定着すれば、高い賃料を払ってオフィスを借りる必要もなくなる。同じように、テレワークに順応できない社員も無能の烙印を押されて居場所を失います」(同)

 その先に待つのは、中高年社員を中心にした雇用の大量破壊。そもそも、IT音痴だけではなく、テレワークの浸透でムダな部署やさほど必要のない社員が浮き彫りになってしまい、次々、クビにされてしまうだろう。たとえ感染を免れても、コロナ後に生き残るのは至難のワザである。

週刊新潮 2020年4月16日号掲載

特集「『緊急事態宣言』を生きる」より

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